1989 Fiscal Year Annual Research Report
菌体成分によるサイトカインの産生と細菌感染防御におけるその役割の解析
Project/Area Number |
01480180
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中野 昌康 自治医科大学, 医学部, 教授 (70048958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 康伸 自治医科大学, 医学部, 講師 (70207851)
四宮 博人 自治医科大学, 医学部, 講師 (80162618)
滝 龍雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (70049097)
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Keywords | 菌体成分 / サイトカイン / 感染防御 |
Research Abstract |
1.in vitroでマウス腹腔マクロファ-ジを培養し、内毒素(LPS)で刺激してやるとサイトカイン(ILー1、TNFーαなど)が産生される。その産生に先立って、細胞内に存在する数種類の蛋白に著しい燐酸化がおこる。その中で最も燐酸化が著しいpp65を分離し、精製を行なった。pp65のアミノ酸配列も部分的に決定され、それが現在知られている他の蛋白とは異なる分子構造をもつことが明らかにされた。目下、pp65に対する特異抗体を作製し、pp65の細胞内シグナル伝達における役割を解明する準備を進めている。 2.組み換え型のサイトカイン(ILー1β、IFNーα/AD、IFNーγ、TNFーα)を使用し、それらをマウスに投与することによってサルモネラや緑膿菌に対する感染防御効果を調べた。腸炎菌やネズミチフス菌の強毒株の感染に先立って。ILー1β、IFNーγとTNFーαの投与は、体内での殺菌能力を高め、感染死を防ぐ上に有効であった。IFNーα/ADにはそのような効果は認められなかった。IFNーγとLPS、IFNーγとTNFーαとを併用投与した場合、それぞれを単独に投与した場合よりもさらに効果が著しい。これらサイトカインの効果はChediak-Higashi症候群(貪食細胞機能不全)の動物モデルであるbeigeマウスを使用しても認めることができた。緑膿菌感染についても目下検討中であるが、TNFーα投与が有効である成績を得ている。 3.LPSによるTNF産生と感染防御効果の関連性を明らかにする目的で以下の実験を行なった。LPS投与によって生ずる生体の非特異的感染防御効果はウサギ抗マウスTNFーα抗体を投与することによって消失した。これらの結果は、LPSが直接に生体の防御機能を活性化するよりもむしろ、LPS刺激で生体内に産生されるTNFーαの方が感染防御により働いていることを示唆している。
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[Publications] 四宮博人: "エンドトキシンの細胞内シグナル伝達" 化学療法の領域. 15. 47-53 (1989)
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[Publications] 中野昌康: "マクロファ-ジの産生する活性物質" 日本臨牀. 47. 526-533 (1989)
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[Publications] M.Nakano: "Toxicity of Microcytis aeruginosa K-139 strain" Microbiology and Immnology. 33. 789-792 (1989)
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[Publications] H.Matsumura: "Effect of murine recombinant interferon-γ in the protection of mice against Salmonella" International Journal of Immunopharmacology. 12. 49-65 (1990)
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[Publications] M.Nakano: "Possible refractory site on LPS-induced interleukin 1 production in C3H/HeJ peritoneal macrophages" Advances in Experimental Medicine and Biology. 256. 347-359 (1990)
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[Publications] Y.Nakano: "Protective effect of recombinant tumor necrosis factor-α in murine salmonellosis" Journal of Immunology. 144. (1990)