1990 Fiscal Year Annual Research Report
人間ー環境系における元素の挙動の安定同位体分析による解析
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01480197
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
鈴木 継美 東京大学, 医学部・医学科, 教授 (80009894)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 哲郎 東京大学, 医学部・医学科, 助手 (90199563)
柏崎 浩 東京大学, 医学部・医学科, 講師 (60004735)
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| Keywords | 人間ー環境系 / 安定同位体 / 水銀 / セレン / 食物 / 毛髪 |
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| Research Abstract |
パプアニュ-ギニア・ギデラ族の生態系における諸元素の挙動を調べる目的で、既に食物中の元素含量および一部の食物については炭素・窒素安定同位体比の測定が行われたが、本年度は食物中のセレンを対象に加え、炭素・窒素安定同位体比との関連を調べた。植物性食物のセレン含量がほとんど10ng/g未満(湿重量あたり)であるのに対し、鳥獣肉類では40〜300ng/g、爬虫類・魚介類では60〜800ng/gであった。このように、植物で低く、動物、特に水棲動物で高い傾向は水銀含量や窒素同位体比と同じであった。動物性食物において、セレン含量、水銀含量、窒素安定同位体比の間で互いに高い有意な相関が観察された(スピアマンの順位相関係数;水銀ーセレン:r=0.650,水銀ーδ15N:r=0.796,δ15Nーセレン:r=0.616)が、重回帰分析の結果、セレン含量の変動に有意な寄与をする変数として選択されたのは水銀含量だけで、δ15Nは選択されなかった。このことから、セレンは栄養段階の高い動物に高濃度であるが、これは食物連鎖に沿って蓄積した(biomagnification)結果ではなく、biomagnificationをする水銀と関連をもっているためであると考えられる。なおギデラ族の異なる4村落での成人男子1人1日あたりのセレン摂取量は49〜130μgと大きく異なったが、毛髪セレン濃度には大きな村落間差は認められなかった。
環境中でのストロンチウムの挙動を追跡するために、ストロンチウム安定同位体比をICPーMSにより測定することを目的とした基礎的な条件検討を行った。100ppbのストロンチウムを含む溶液を用い、質量数86、87を1秒間測定することで、0.3〜0.5%の精度で ^<87>Sr/ ^<86>Srを求めることができた。
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