1989 Fiscal Year Annual Research Report
重金属によるポリフィリン代謝異常の発現に関与する生体側要因の解析
Project/Area Number |
01480200
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
友国 勝磨 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40032891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市場 正良 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60184628)
平井 幸雄 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (90156638)
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Keywords | 鉛暴露 / ポルフィリン代謝異常 / 尿中δーアミノレブリン酸 / 赤血球δーアミノレブリン酸脱水酵素 / 個体差 / 感受性差 / 実験小動物 / 体内微量元素 |
Research Abstract |
実験小動物(マウス、ラット)に鉛を投与すると比較的短期間にポルフィリン代謝異常が特異的に発現するが、その発現の程度にはかなりの個体差が見られる。この様な鉛の毒性に対する感受性差の要因として、体内微量元素の変動に注目し研究を開始した。先ず、同一レベルの鉛を経口的に投与したマウスを、ポルフィリン代謝異常発現の程度より2群(高感受性群と低感受性群)に大別し、各群におけるマウスの血液及び肝臓中のマグネシウム、亜鉛及び銅を原子吸光分析法により定量した。得られた測定値を2群間で比較検討したところ有意差は認められず、鉛によるポルフィリン代謝異常発現の程度と体内微量元素の変動との関係を明確にすることは出来なかった。 一方、本研究を遂行する過程で興味ある知見を得ることが出来た。既ち、マウスの様な実験小動物では尿中δーアミノレブリン酸(ALA)排泄量の生理値に著明な種差のあることが明らかにされた。特にddYマウスとC57BL/6マウスの間では尿中ALA排泄量に平均値で約3倍の開きがあり、この様な大差は他の動物では見られない。そこで、生理的に尿中ALA排泄量に大差のある2系統のマウスに同一レベルの鉛を経口的に投与した時、鉛による健康影響の特異的指標である尿中ALA排泄量や赤血球δーアミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性に対していかなる変化が認められるかを検討した。その結果、鉛による尿中ALA排泄量は、濃度で比べると2系統のマウス間に大差が見られたが、排泄割合(鉛与前との比)で比べると両者には有意差は認められなかった。この様な実験結果を基にして鉛によるポルフィリン代謝異常発現の感受性差を解析、評価する場合の妥当性については現在検討中である。
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[Publications] Tomokuni,K.: "Effect of lead exposure on some biological indices related to porphyrin metabolism and the activity of erythrocyte pyrimidine 5′-nucleotidase in the mice" Archives of Toxicology. 63. 23-28 (1989)
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[Publications] Tomokuni,K.: "Comparison of urinary δ-aminolevulinic acid excretion and erythrocyte δ-aminolevulinic acid dehydratase inhibition in different strains of mice exposed to lead" Industrial Health. 28. 31-36 (1990)