1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480205
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
住野 公昭 神戸大学, 医学部, 教授 (90030832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 良二 神戸大学, 医学部, 助手 (30135785)
西條 清史 神戸大学, 医学部, 助手 (00178469)
三尾 隆彌 神戸大学, 医学部, 助手 (20047450)
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Keywords | 生体膜 / 過酸化脂質 / コレステロ-ル酸化生成物 / 老化疾患(動脈硬化高血圧) / SOD活性 / TBA反応物 |
Research Abstract |
老化の初期変化を酸化的ストレスの集積としてとらえ、初年度は生体膜構成脂質の酸化機序と活性酸素種の消去機序の解明を目的とした。 (1)生体膜構成脂質の酸化機序解析の結果:まず健常人LDLを活性酸素で酸化し、酸化LDLの構成脂質のGC/MS分析を詳細に行い、エステル型不飽和脂肪酸側鎖とコレステロ-ル骨格の変化を確認した。前者はオクタデカノイド、エイコサノイドとドコサノイドの減少が認められ、それに対応する新生異性体二種を発見した。更に対照に見られないアルケニルメチルエ-テル体C_<16:1>とC_<18:1>、αーヒドロキシル体C_<16:0>、C_<18:0>、C_<20:0>、C_<22:0>、C_<23:0>とC_<24:0>を検出した。後者のステロイド骨格の酸化体は多種類新生し、主なものはコレスター3、5、7ートリエンとそのモノエポキシ、ジエポキシ体とコレステロ-ルー5β、6βエポキシドとその異性体1種並びに脱水素体2種を検出した。以上のin vitroの知見をもとに、老化性代謝疾患の動脈硬化症と高血圧症について、粥状硬化組織と高血圧赤血球膜を用いて構成脂質の変化を検索した。健常対照に比較して、両疾患共不飽和脂肪酸側鎖のエイコサノイドとドコサノイドの著しい減少が見られ、コレステロ-ル誘導体はコレスター3、5、7ートリエンとそのエポキシ体を発見した。なお高血圧症患者の白血球・リンパ球と血小板分画でも同様の検索を行ったが著変は見られなかった。 (2)活性酸素種の消去機序の解明の結果:上記生体膜構成脂質の変化は活性酸素種による化学的修飾と推定される。そこで活性酸素種の始発Super oxide anion(SOA)の消去酵素Super oxide dismutase(SOD)の活性に着目し、Cu、Zn SODをNBT法に従った改良法を確立した。この方法で幼、中、老令赤血球中のCu Zn SODの活性を測定した。また鎖状脂質の酸化によって生成するTBA反応陽性物質の定量も行っている。次年度はこれら三者の関係から酸化的ストレスの相相対評価が出来るものと検討している。
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[Publications] 砂川武: "LDL構成脂質の酸化" 生化学. 61. 743-743 (1989)
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[Publications] 石川雄一: "酸化LDLのGC/MSによる脂質構成の分析" 動脈硬化. 17. 840-840 (1989)
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[Publications] 幡山文一: "酸化的ストレスによる血中脂質の変化(1)" 日本公衆衛生雑誌. 36. 429-429 (1989)
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[Publications] 三尾隆彌: "酸化的ストレスによる血中脂質の変化(2)" 日本衛生学雑誌. 45. (1990)
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[Publications] 幡山文一: "酸化的ストレスによる血中脂質の変化(3)" 日本衛生学雑誌. 45. (1990)