1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480213
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
平岩 幸一 福島県立医科大学, 法医学, 教授 (60124616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水澤 郁文 福島県立医科大学, 法医学, 助手 (40192356)
阿部 すみ子 福島県立医科大学, 法医学, 助手 (50136975)
栗崎 恵美子 福島県立医科大学, 法医学, 講師 (30106356)
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Keywords | 外傷 / ショック / リゾソ-ム酵素 / アラキドン酸代謝物 / 白血球凝集 / 血小板活性化因子 |
Research Abstract |
家兎一側後肢を緊縛後解除すると血圧が低下して死亡する。このような緊縛性ショックでは緊縛部より末梢側の虚血・再灌流がショックの発症に関与することが明らかになっている。そこで、ショック発症の機序を解明するために、リゾソ-ム酵素活性の変動を調べ、リゾソ-ム酵素に関連する生理活性物質の変動について検討した。併せて、病理組織学的所見についても検討し若干の知見を得た。 1.リゾソ-ムに限局するNーアセチルーβーグルコサミダ-ゼ(NAG)、βーグルクロニダ-ゼ(GLC)は緊縛前・緊縛解除前では活性に著明な変動はなく、緊縛解除後に著明に上昇した。ACPは緊縛解除後に若干の方昇を示した。尚、LDHは緊縛解除前に既に著明な上昇を示し、解除後はNAG、GLCと似た変動であった。 2.ロイコトリエン(LTs)の変動をみると、LTB4は緊縛解除後も血中・筋肉中の両者ともに変化はなかった。一方LTD4、LTE4は血中・筋肉中で上昇したことから、peptideーLTsの合成に移行していると考えられた。 3.組織学的には緊縛解除後、緊縛側の皮膚・筋肉での充血・浮腫・細胞浸潤や白血球の血管内皮への粘着や小動脈への浸潤が経時的に明瞭となり、肺で解除6・12時間後には血管内白血球凝集が観察された。 4.緊縛解除後の血圧降下時にPAF拮抗薬を投与すると、収縮期血圧よりも拡張期血圧を著明に上昇させることから、PAFの降圧機序は血管内皮系の働き、末梢抵抗を減少させると考えられた。 以上の如く、虚血による細胞傷害、特にリゾソ-ム酵素の活性化が、膜障害を引き起こし、種々の生理活性物質が産生され、これらが相互に関連してショックを発現すると解される。今後、白血球・血小板凝集の機序を解明し、これらを熱傷性ショックの病態と比較することで、より緊縛性ショックの本態に近づけると考えられる。
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Research Products
(1 results)