1989 Fiscal Year Annual Research Report
老化と免疫機能ーリンパ球分裂増殖の調節因子の解析ー
Project/Area Number |
01480218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 英記 大阪大学, 医学部, 助手 (10211492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 行彦 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
根来 茂 大阪大学, 医学部, 講師 (30172753)
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Keywords | 老化 / 加齢 / 免疫機能 / T細胞 / c-myc / c-myb / DNAメチレ-ション |
Research Abstract |
これまでに、老人のT細胞にみられる分裂能の低下は主に分裂を繰り返す能力が低下していることが原因であることを明らかにしたので、細胞の分裂増殖に重要な役割を持つと考えられているc-myc遺伝子の発現について検討した。末梢静脈血液から分離した単核細胞から羊赤血球ロゼット法でT細胞粗分画を分離し、これを抗マクロファ-ジ抗体(M206)および補体で処理して純粋なT細胞を得た。これをPMAとイオノマイシン(IM)で刺激培養し2時間、5時間、24時間にGuanidine isothiocyanate法でRNAを得た。これをニトロセルロ-ス膜にDot blotして、c-mycDNAのExon 2に相当するプロ-ベを用いてhybridizeした。ドットしたRNA量の確認のためにアクチンをコントロ-ルとした。このオ-トラジオグラフのスポットをデンシトメ-タ-で読んだ。その結果、若年者のT細胞では2時間でc-mycRNA量は最大となり5時間では減少し24時間ではもはや検出されなかった。これに対して、老年者のT細胞ではc-mycRNA量が2時間に最大となるのは若年者と同じであるが、5時間でもその減少は緩やかでありさらに24時間後でもc-mycRNAが相当量認められた。この結果は、老年者T細胞のc-mycRNA転写の亢進かあるいはc-mycRNAの分解が遷延しているのかどちらかの可能性を示すものである。そこで次に細胞核を取りRun-on transcriptionを行い、転写の亢進が存在するか否かを確認した。この結果老年者T細胞にはc-mycRNA転写の亢進は認められないので、前述の現象は分解の遷延によるものと考えられた。c-mybRNAについては老若間に差がなかった。c-mycDNAについては制限酵素の感受性の差からメチレ-ションを検討したが、老年者のT細胞ではメチレ-ションが少ないことがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 原英記: "老化と免疫" 臨床検査. 33. 142-147 (1989)
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[Publications] 原英記: "高齢者喘息のアレルギ-との関与" 喘息. 2. 19-23 (1989)
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[Publications] 岸本進: "老化に伴う免疫機能の変化 T細胞膜レセプタ-の加齢変化について" 大阪ガスグル-プ福祉財団 研究・調査報告書. 2. 105-108 (1989)
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[Publications] 原英記: "免疫血清学的検査と正常値" 老化と疾患. 2. 2271-2278 (1989)
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[Publications] S.Doi: "Administration of recombinant IL-2 augments the level of serum IgM in an IL-2 deficient patient" Eur.J.Pediatr.148. 630-633 (1989)
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[Publications] 原英記: "Annual Review 免疫 1989" 中外・医学社, 295 (1989)