1989 Fiscal Year Annual Research Report
小腸分泌性下痢の発症メカニズムにおける上皮内mediatorsに関する研究
Project/Area Number |
01480229
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三浦 総一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50138012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹澤 宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60187870)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00206385)
吉岡 政洋 東京都国民健康保険連合会南多摩病院消化器内科, 医長 (10129728)
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Keywords | コレラトキシン / clostridium difficile toxin / verotoxin / 細胞内カルシウム / 刷子縁膜 / アルカリフォスファタ-ゼ(ALP) / 分泌性下痢 / 微小循環 |
Research Abstract |
(1)ラット空腸ル-プにコレラトキシン(CT)等各種細菌毒素を投与し分泌性下痢を惹起し細胞内メディエ-タ-の動きをみた。CT,E coli LT toxinはcyclicAMP,Aーkinaseを活性化し過分泌を惹起した。Clostridimn xlifficileはCa^<++>を介した機序で小腸過分泌を惹起した。CTによる小腸過分泌はCa^<++>拮抗剤(Nicorandil)やcalmodulin inhibitor(Trifluoperazine)等で抑制され、Aーkinase活性化の後Ca^<++>を介したメカニズムの重要性即ちCAMPーAーkinaseシステムとCa^<++>の相互作用の存在が想像された。(2)細菌毒素による膜リン酸化物の検討では、^<32>PーATPにてCT投与後刷子縁膜上で特異的にリン酸化される膜蛋白成分は105KDであった。他方分泌性下痢との関連性が注目される小腸ALPは刷子縁型130KD、細胞質ーリンパ型160KDであり分子量的に異なることがわかった。(3)小腸上皮単離培養細胞や白血球を用いて、Ca^<++>イオノフォアであるionomycinにより細胞内Ca^<++>が上昇することを蛍光光度計にて測定できた。興味深いことに出血性腸炎の原因菌として注目されるclostriclium ToxinやE.coli 由来のverotoxinは白血球細胞内のfree Ca^<++>を上昇させることが明らかになった。CTには白血球細胞内のfree Ca^<++>を上昇させる作用はみられなかった。(4)ラット回腸部の微小循環を生体顕微鏡下に漿膜側より観察するシステムが確立できた。さらにCTの投与によって腸管微小循環系に変化がみられ、とくに細静脈領域の血管系の拡張と血流速度の増加がみられ、FITCーBSAの血管透過性の亢進も確認できた。またclostridium difficile toxinやverotoxinの投与後には、細静脈領域における白血球膠着現象や同部位を中心として出血所見が観察された。以上本年度は細菌性毒素による分泌性下痢の機序にCa^〓が重要な役割をはたしていること、及び分泌性下痢や出血性腸炎の病態において腸管微小循環系の変化が、小腸上皮の代謝変化と密接に結びついて生じていることを明らかにしえた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Miura et al.: "Alkaline phosphatase of rat intestinal lymph:its characterization and the effect of fat administration." Clinica Chimica Acta. 186. 239-248 (1989)
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[Publications] 田代博一,三浦総一郎 他: "E.coli 0157:H7産生verotoxinによる出血性腸炎発症機序の検討" 日本消化器病学会雑誌. 87. 503- (1990)
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[Publications] S.Miura et al.: "Advances in Research on Cholera and Related Diarrheas 07.Effect calcium antagonists on cholersーtoxin induced Secretory diarrhea." KTK Scientific Publishers, (1990)