1989 Fiscal Year Annual Research Report
アトピ-性気管支喘息患者におけるIgEFCリセプタ-の免疫学的・遺伝学的研究
Project/Area Number |
01480232
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 悦郎 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10201831)
|
Keywords | 気管支喘息 / アトピ- / IgE / Fcリセプタ- / 気管支肺胞洗浄 |
Research Abstract |
血中IgE抗体の上昇するのが特徴であるアトピ-性気管支喘息患者において、IgEのFC部分に対するリセプタ-(FcεR)が、IgE産生とどのような関連があるかを検討するため、今年度は主としてリンパ球のFcεRの発現状況を検討した。 15名の健常者、11名のアトピ-性気管支喘息患者を対象とした。末梢血リンパ球に関する検討では、患者のBリンパ球上のFcεRはその発現比率、フロ-サイトメ-タ-で求めた発現強度は共に有意に上昇していた。このことは、実際に抗体を産生するBリンパ球では、FcεRがそのIgE産生に何らかの調節作用を有しているか、あるいは逆に産生されたIgEによってそのリセプタ-の発現が影響を受けていることを示唆するものと考えられる。 一方、Tリンパ球に関しては、FcεR陽性細胞の比率、発現強度とも健常者と患者間に差を認めなかった。IgE産生はTリンパ球より産生されるインタ-ロイキン4やインタ-ロイキン5によって、大きな調節を受けることが知られているが、それらの産生におけるFcεRの役割は小さいと考えられる。 更に4名において気管支肺胞洗浄細胞につき、同様な検討を行った。気管支肺胞洗浄細胞では、Bリンパ球が10%以下と少く、解析がやや困難であったが、末梢血Bリンパ球に比してFcεRの発現比率、強度が上昇しているという結果は得られてはいない。Tリンパ球については、発現比率が上昇する傾向があるが症例が少く、次年度の課題としたい。
|