1989 Fiscal Year Annual Research Report
肺の線維化と気腫化に及ぼす加令と環境汚染因子の関与-喫煙とスパイクタイヤ粉塵ー
Project/Area Number |
01480233
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 敬治 山形大学, 医学部, 助教授 (50004685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 英樹 山形大学, 医学部, 助手 (10175193)
佐藤 忍 山形大学, 医学部, 講師 (90113951)
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Keywords | 肺組織障害 / 加令 / 肺組織弾性特性 / 喫煙 / ブレオマイシン肺障害 / 肺の線維化 / 肺の気腫化 |
Research Abstract |
目的:道路粉塵暴露及び喫煙などの環境汚染因子とその暴露時期及び加令とにより、肺組織障害がどのような影響を受けるかを、ヒトの特発性肺線維症に近似するハムスタ-のBleomycin実験肺線維症を対象にヒトの場合にシミュレ-ションし解析することを目的とした。初年度は若年期の成長が肺胞壁組織の粘弾性特性にいかなる影響を及ぼすかを、またブレオマイシン投与による肺組織障害(繊維化)が喫煙附加によりいかなる影響を受けるかを検討した。方法:3週令雄のハムスタ-の肺圧量関係肺胞壁組織の張力関係を80、110、140および170日令の若年期について検討した。張力(F)と歪み(X)は組織の量によって決まる定数をAとすると測定された張力はF=A(e^<ax>-1)で示される。aは弾性特性を表す定数であり、若年期の肺胞壁組織の特性変化をaについて検討した。さらにBLM肺組織障害に及ぼす喫煙の影響を機能的、形態的に検討した。結果:(1)加令に伴う肺胞壁の特性変化-空気圧量曲線の特性は測定した若年期では差異がなかった。しかし、肺胞壁組織の弾性特性は小さい歪みで関与する要素(a_1)と大きい歪みで関与する要素(a_2)の2要素で構成される。エラスチンの多い項靭帯、コラ-ゲンの多いラット尾靭帯の弾性特性の比較より、a_1はelastic fiberをa_2はcollagen fiberの特性を示している。若年期のハムスタ-の肺胞壁のa_1、a_2ともに成長に伴い増加した。(2)喫煙の影響-喫煙のみでは機能、形態ともに影響をうけなかった。喫煙にBLM経気管投与が加わると、肺圧量曲線上繊維化肺を気腫化の方向に変化させた。電顕観察による肺胞上皮および肺胞腔内のマクロファ-ジとの細胞相互関係にも喫煙は影響を与え、BLM単独では見られない著しい変化を招来させた。まとめ:若年期の成長は肺胞壁組織のelastic fiber,collagen fiberともに伸展し難くする。喫煙はBLMによる肺組織障害を気腫化の方向へと著しく修飾する。
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[Publications] Keiji Takahashi: "Intramuscularly administrated elastase reduces the development of pulmonary fibrosis induced by bleomycin in hamsters." Am Rev Respir Dis. 139. A227 (1989)
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[Publications] 高橋敬治: "培養肺細胞の機能と形態" 日胸疾会誌. 48. 955-964 (1989)
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[Publications] 高橋敬治: "喫煙と肺機能" 呼と循. 38. 17-25 (1989)
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[Publications] Naoshi Yakuwa: "A novel neutrophil adherence test effectively reflects the activated state of neutrophils." Microbiol.Immunol.33. 843-852 (1989)
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[Publications] Hideki Ikeda: "Prolonged lung retension of ^<123>I-IMP in pulmonary disease." Eur J Nucl Med. 15. 646-648 (1989)
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[Publications] Keiji Takahashi: "Alveolar wall mechanics with growth in youth hamster." Am Rev Respir Dis.