1989 Fiscal Year Annual Research Report
実験的マウス過敏性肺炎モデルに於ける発症機序の免疫学的分子生物学的検討
Project/Area Number |
01480236
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大久保 隆男 横浜市立大学, 医学部・内科学第1講座, 教授 (40006705)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 賢治 横浜市立大学, 医学部・内科学第1講座, 助手 (20094310)
加藤 清 横浜市立大学, 医学部・医療情報室, 講師 (70177434)
|
Keywords | 肺肉芽腫 / 免疫担当細胞 / サイトカイン / T細胞移入 |
Research Abstract |
肺肉芽腫形成への免疫担当細胞の関与を明らかにした。In vivoのマウス実験系で、感作T細胞の経静脈投与を行ない、未感作のマウスに肺肉芽腫形成を惹起せしめた。各種モノクロナ-ル抗体を用いて、惹起されたマウス肺肉芽腫病変に免疫組織染色を行った。抗Thy1抗体で染色すると、肉芽腫形成早期の24時間後より陽性細胞が出現し、周径が最大となる72時間後には、肉芽腫中心から辺縁に分布し、修復期には辺縁部に陽性細胞が多く存在する。同様に、抗Lyt1抗体で染色すると、肉芽腫形成早期・極期に散在性に陽性細胞が存在するが、修復期には陽性細胞はほとんど認められない。ついで、同様に、抗Lyt2抗体で染色すると、肉芽腫形成早期には陽性細胞は存在しないが、72時間後より肉芽腫辺縁部に出現しはじめ、修復期には辺縁部に優位に存在する。以上より、肉芽腫形成早期にLyt1陽性T細胞が優位に存在し、修復期にはLyt2陽性T細胞が優位になることが、病変部の組織学的検討によって明らかになった。同様に、In vivoで肉芽腫形成を生じたマウスに経時的に気管支肺胞洗浄を行ない、えられた細胞に免疫組織洗浄を行った。組織学的検討と同様に、肉芽腫形成の早期では、Lyt1陽性T細胞の出現が認められ、修復期では少数ではあるがLyt2陽性T細胞を認めた。 以上のことより、次の事が結論される。1)感作T細胞移入でも未感作マウスに肺肉芽腫を惹起しうる。2)免疫学的には、肉芽腫形成期にはLyt1陽性のヘルパT細胞が主要な役割をにない、修復期にはLyt2陽性の細胞障害性T細胞が病変の修復に必要な役割をはたしていると推察される。
|
-
[Publications] 加藤清,川井孝子,長谷川明子,成田雅弘,大久保隆男: "実験的肺肉芽腫モデルにおける修復機序にはたすT細胞の影響" 炎症.
-
[Publications] 川井孝子: "マウス実験的肺肉芽腫モデルにおける液性成分・細胞成分の経時的検討" 横浜医学. 40. 345-354 (1989)
-
[Publications] Kiyoshi Katoh: "T cell transfer leads IーA restricted hypersensitivity preumonitis in mice" American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology.