1991 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠の液性制御機構に関する基礎的ならびに臨床的研究
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01480279
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 進昌 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10106213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綱島 浩一 国立精神, 神経センター・神経研究所, 研究員 (30197743)
飯田 英晴 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50184354)
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Keywords | DSIP / ドパミン / セロトニン / 成長ホルモン / 甲状腺刺激ホルモン / プロラクチン / サ-カディアン・リズム / 体温調節 |
Research Abstract |
最終年度として、睡眠促進物質であるDSIPと、睡眠と連携して分泌されるといわれるホルモンである成長ホルモン(GH)を対象として実験を行い、以下の結果を得た。1)ラットにおけるDSIPの体温調節作用については、ドパミン、セロトニンのいずれも関与するが、セロトニン、特に5ーHT_<1A>受容体が一義的な関わりを持つことが証明された。従って、DSIPは睡眠量を直接増やすだけでなく、体温調節などの睡眠に関連する生理的現象にも積極的な役割を持つことが推測され、生理活性物質として重要と思われた。2)非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるゾピクロン投与によって、ラット脳内DSIP量が用量依存性に増加し、一方ベンゾジアゼピン系薬物であるジアゼパムや、抗精神病薬のクロルプロマジンの投与では脳内DSIPの変化は認めなかった。従って、ゾピクロンの徐波睡眠増加作用にDSIPが関与している可能性が示唆された。3)ヒト血中GHの分泌リズムと睡眠との関係について、人眠前から終夜にわたって5分毎の採血を健常成人で実施して検討した。その結果、入眠後最初に出現する徐波睡眠の経過とGH分泌パタ-ンが多くの例で、きれいに同期していることが明らかとなった。この現象自体は以前から報告されているが、酵素免疫測定法を用いて超高感度アッセイによって、GHは徐波睡眠出現後、約10分の時差をもって上昇することが証明された。4)同様の条件下でプロラクチン(PRL)についても検討した結果、PRL分泌もGHと同様に徐波睡眠経過と並行して上昇することが初めて明らかとなった。少数例では、入眠前に既にGH値が高く、入眠に影響されない現象が見られたが、このような場合にはPRL分泌も睡眠と関係が無く、両ホルモンの密接な関連が改めて示唆された。
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[Publications] 加藤 進昌,定松 美幸,飯田 英晴,増井 晃,高橋 三郎: "睡眠とGrowrh hormone(GH)ーGH分泌の睡眠依存性とデルタ睡眠誘発ペプチドー" ホルモンと臨床. 39. 585-590 (1991)
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[Publications] 加藤 進昌,定松 美幸: "睡眠異常の内分泌学的アプロ-チ" クリニカル・ニュ-ロサイエンス. 9. 1062-1065 (1991)
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[Publications] 綱島 浩一,山寺 博史,加藤 進昌,三ツ汐 洋,高橋 清久: "ゾピクロン投与によるラット脳内および血中デルタ睡眠誘発ペプチド様免疫活性(DSIPーLI)の変化" 脳と精神の医学. 3. (1992)
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[Publications] Tsunashima k,Kato N,Masui A,&Takahashi K: "The effect of delta sleepーinducing peptede(DSIP)on the changes of body(core)temperature induced by Serotonergic agonists in the rats." Peptides.
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[Publications] 定松 美幸,飯田 英晴,加藤 進昌,高橋 三郎,橋田 誠一,石川 栄治: "ヒト成長ホルモンとプロラクチンの入眠時徐波睡眠依存性の再検討" 日本内分泌学会雑誌.
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[Publications] 綱島 浩一,加藤 進昌: "ストレスと神経内分泌,In:生物学的精神医学シリ-ズIII「躁うつ病と神経内分泌」(野村・前田編)所収" 学会出版センタ-,東京, (1992)