1990 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞におけるILー6遺伝子活性化機構ー特にその調節因子の固定と精製ー
Project/Area Number |
01480300
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 道生 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (40161343)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏本 淳 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50034070)
藤村 欣吾 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80034114)
田辺 修 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70221398)
|
Keywords | 骨髄腫細胞 / ILー6 / 遺伝子発現 / 転写調節因子 / 核内蛋白 / オ-トクリン増殖 |
Research Abstract |
ヒトの骨髄腫細胞株としてHGNー1,HGNー2及びHGNー5を樹立した。このうちHGNー1はILー6依存性増殖株であった。ILー6遺伝子発現の強い骨髄腫細胞株KMSー5において、ILー6遺伝子の5'末端プロ-ブを用いたSIマッピング法にて転写開始点を検索した。ILー6遺伝子転写誘導に必要なプロモ-タ-領域を決定すべく、ヒトILー6遺伝子の5'上流の約1キロ塩基のDNAフラグメントをCAT遺伝子を有するプラスミドpSVoCATに組み込んだキメラ遺伝子を作製し、これらをKMSー5株に電気穿孔法にて遺伝子導入する方法を確立した。引続きプロモ-タ-領域決定の仕事を続けている。一方、ILー1によりILー6遺伝子発現誘導に関わる転写調節領域として-160〜-112塩基の領域内にACATTGCACAATCTという14塩基のパリンドロ-ム構造領域が領域が同定され、この領域に特異的に結合する核内蛋白としてNFーIL6がクロ-ニングされた(審良、田辺らによる)。ILー6発現のある骨髄腫細胞株及び新鮮分離骨髄腫細胞において、NFーIL6mRNA発現をRTーPCR法あるいはノ-ザン・ブロット法にて認めた。このことは、骨髄腫細胞における恒常的ILー6遺伝子発現は転写節因子であるNFーIL6の発現異常として把えられるものと考えられる。引続きアンチセンスNFーIL6導入による骨髄腫細胞株KMSー5からのILー6産生に及ぼす影響につき検討している。他方、NFーIL6以外の転写調節因子についても、ゲル・シフト・アッセイ法などにより同定をあわせ続けている。以上、ヒト骨髄腫細胞におけるILー6遺伝子発現誘導には核内蛋白NFーIL6が重要と考えられ、NFーIL6の発現異常が骨髄腫発生にも深い関わりを持っているものと思われる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Hideaki ISHIKAWA: "Effects of glucocorticoids on the biologic activities of myeloma cells." Blood. 75. 715-720 (1990)
-
[Publications] Masaharu NOBUYOSHI: "Increased expression of the cーmyc gene may be related to the aggressive transformation of human myeloma cells." British journal of Haematology. 77. 397-402 (1991)
-
[Publications] 河野 道生: "被爆者における多発性骨髄腫の細胞生物学的研究 2.cーmgc遺伝子活性化と骨髄腫進展との関連について" 広島医学. 43. 410-413 (1990)
-
[Publications] 田邉 修: "ILー6と造血幹細胞" 造血因子. 1. 62-68 (1990)
-
[Publications] 坂井 晃: "インタ-ロイキン6と骨髄腫,骨髄腫細胞から産生されるILー6" Mebio. 7. 50-54 (1990)
-
[Publications] 河野 道生: "Annual Review血液1990" 中外医学社, 216 (1990)