1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480303
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
江端 英隆 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20091564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 一彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00204264)
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Keywords | 先天性肝酵素欠損症 / アスコルビン酸 / 脾内移植 / 肝細胞移植 |
Research Abstract |
先天性アスコルビン酸(AsA)生合成酵素欠損ラットであるODS-^<od>/odラットは、AsAを投与しないと急速に体重減少となり、口腔、鼻腔からの出血を伴う壊血病症状を呈し、8週前後で死亡する。したがって、脾内肝細胞移植法を先天性肝酵素欠損疾患に応用する実験系として、移植された肝細胞の機能をその症状に対する効果として評価するには格好のモデルといえる。recipientのODS-^<od>/odラットは、実験に供するまでAsA含有の飼料と水を投与し、正常に発育させた。donorはcongenicであり、酵素を正常にもつODS-^+/+を用いた。脾内肝細胞移植はコラゲナ-ゼ消化法で分離したviability80%以上の肝細胞1×10^7個/0.2mlを脾内に直接注入する方法によった。 実験群は、(1)I群:体重200gの9週齢ラットに移植し、その6週後にAsA投与を中止したもの、(2)II群:体重100gの6週齢ラットに移植しその直後よりAsA中止したもの、(3)III群:6週齢ラットに移植し、その17週後にAsA中止したもの、である。対照群として、同週齢の肝細胞移植をしないODS-^<od>/odを用いた。 この結果、I群では全例AsA中止後2週以降から著明に体重減少し出血傾向をきたし、6週で死亡した。これは対照群とまったく同じ経過であった。II群では対照群と同じ経過をたどった8例と体重減少が鈍化した2例に分かれ、後者の血清AsA濃度は前者に比べ高値を示した。III群では全例に体重減少の鈍化、AsA中止後9週目の生存率も100%であった(対照群は50%)。しかし、この群のなかでもしだいに体重減少が進み、症状発現をきたした5例とまったく無症状で体重を維持した5例に分かれた。前者のAsA値に比べ、後者のそれは明らかに高値を示した。組織学的にもIII群の後者は、肝細胞の生着状態においても優れていた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小野寺一彦: "先天性肝酵素欠損症に対する肝細胞移植の治療効果に関する実験的検討" 肝臓. 30suppl. 352 (1989)
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[Publications] 小野寺一彦: "先天性肝酵素欠損症に対する肝細胞移植" 移植. 25. (1990)
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[Publications] 江端英隆: "細胞移植と遺伝子操作による肝の先天代謝異常疾患の治療は可能か" 医学のあゆみ. 150. 188-190 (1989)