1991 Fiscal Year Annual Research Report
CSFを用いたOKー432刺激好中球の抗腫瘍活性増強法の試みに関する研究
Project/Area Number |
01480310
|
Research Institution | Gifu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐治 重豊 岐阜大学, 医学部, 教授 (80021400)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 保幸 岐阜大学, 医学部, 助手 (90211309)
宮 喜一 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (10190729)
東 修次 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (90167908)
|
Keywords | 癌性腹膜炎 / OKー432 / GーCSF / 好中球 / 抗腫瘍活性 / Chemiluminescence活性 / Winn中和試験 / 担癌生体 |
Research Abstract |
平成2年度の研究で,癌性腹水モデルにGーCSFとOKー432を腹腔内併用投与した場合,OKー432先行投与後GーCSFを投与すると,腹腔内遊出好中球のChemiluminescence(CL)活性が相乗的に増加し,生存日数が延長したが,OKー432後行投与では相乗効果はみられなかった。本年度はCL活性を全血法で追試し,かつOKー432先行投与で相乗効果が得られた理由と好中球の抗腫瘍作用をWinn中和試験で評価した。また腫瘍の存在部位とOKー432あるいはGーCSFの投与経路による影響を検索し,以下の結果を得た。(1)好中球のCL活性は分離好中球を用いた場合も,全血で検索した場合も略同様所見が観察された。(2)OKー432先行投与の意義は,好中球のCL活性がOKー432刺激後24時間目頃にpeakに達するが,GーCSF刺激の場合は6ー12時間目にpeakに達するため,この時間的な差で相乗効果が生じると推察された。(3)背部皮下移植腫瘍を用いOKー432を皮下投与後GーCSFを皮下投与した場合には生存期間の延長は見られず,採取した末梢血好中球のCL活性の増強も観察されなかった。(4)OKー432刺激好中球あるいはGーCSF刺激好中球を用い,MRMTー1と25/1の割合で混合し皮下移植した場合,OKー432では腫瘍増殖抑制傾向がみられたが,GーCSFでは対照群と差はなく抗腫瘍効果は無いものと推察された。(5)SD系ラットにMRMTー1を背部皮下移植した場合,担癌末期に末梢血好中球が有意に増加するが,この好中球をOKー432で刺激した場合,抗腫瘍効果は殆ど観察されず,逆にGーCSFで刺激した場合は腫瘍増殖促進様所見が推察された。以上の結果,腫瘍の存在部位とOKー432やGーCSFの投与経路が異なると,好中球の抗腫瘍作用が異なる可能性が推察された。また好中球を用いた中和試験で担癌早期の好中球はOKー432やGーCSF刺激によりCL活性や抗腫瘍作用の増強を示したが,末期では逆の作用を示す可能性が推察された。
|
-
[Publications] 杉山 保幸: "肉眼的腹膜播種性転移陽性胃癌症例に対するMMCとOKー432の術中復腔内投与について" 癌と化学療法. 17. 1592-1595 (1990)
-
[Publications] 芥子川 逸和: "OKー432とGーCSFを用いた担癌ラット好中球の抗腫瘍活性増強効果に関する検討" BIOTHERAPY. 5. 1038-1043 (1991)
-
[Publications] 佐治 重豊: "癌性腹膜炎に対する免疫療法" 消化器外科. 14. 1489-1495 (1991)
-
[Publications] 佐治 重豊: "癌免疫療法におけるOKー432刺激好中球の役割" Therapeutic Research. 12. 3406-3416 (1991)
-
[Publications] 芥子川 逸和: "担癌生体における好中球貧食能とOKー432およびGーCSFを用いた好中球の抗腫瘍活性増強法の試みに関する実験的・臨床的研究" 岐阜大学医学部紀要. 39. 238-272 (1991)