1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480311
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高木 弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (70154755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 忠雄 名古屋大学, 医学部, 教授 (50078763)
佐久間 貞行 名古屋大学, 医学部, 教授 (90079963)
幅 俊人 名古屋大学, 医学部, 助手 (30228522)
原田 明生 名古屋大学, 医学部, 助手 (50198909)
野浪 敏明 名古屋大学, 医学部, 助手 (80189422)
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Keywords | 肝保存 / NMR / 肝類洞内皮細胞 / 血液凝固関連因子Factor VIII / FK506 / 部分肝移植 / 血行動態 |
Research Abstract |
1.肝保存の研究 (1)NMRを用いた保存肝の評価法の検討:ラット摘出肝を生食、EuroーCollins液に単純冷却浸漬保存し、経時的に細胞膜の構成成分であるリン脂質の変動を検討した。リン脂質の代謝産物であるαーglycerophosphate(αーGP)は両者に於て増加したが、生食群で有意に高値となり、膜の変性と相関する事が示唆された。 (2)肝類洞内皮細胞の形態の解析:ラット摘出肝をUWーsolution又はEuroーDollins液に単純浸漬保存し、同所性肝移値を行った。経時的に組織を採取し、血管凝固関連因子FactorVIIIに対するMonoclonal抗体を用いて血管内皮細胞障害の程度を検討した。EC群では保存後の重量増加、空胞変性とFactorVIII表出の低下、内皮細胞の脱落を認めた。また、移植後その変化は著明となった。UW群ではこれらの変化は軽度で、明らかに差を認めた。 2.免疫抑制療法の検討:FK506は優れた免疫抑制剤であるが、腎毒性も認められ、膵炎を惹起することが報告されている。FK506の血管障害作用の有無について、ラットにFK506を投与し、抗FactorVIII抗体を用いて検討した。FK506の4日間投与で、膵血管内皮細胞の脱落変性を認めたが、肝類洞内皮細胞ではFactorVIIIの表出の低下に留まり、FK506の血管障害作用には臓器特異性があると思われた。またこれらの変性はFK506投与中止後回復し、可逆的であると思われた。 3.部分肝移植の検討:犬摘出肝をEuroーCollins液中で右葉に分割、左葉をIVCを温存しつつ全肝を切除したRecipientに移植した。経時的に門脈圧を測定し、Recipient肝重量に対するGraft重量の割合による圧の差と生存率を比較した。これにより、Graft肝重量はRecipient肝重量の約50%以上あるべきである事が示唆された。
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[Publications] T.Hachisuka: " ^<31>P Nuclear magnetic resonance study of phospholipid metabolites in hypothermic preserved liver" Transplantation Proceedings. 22. 485-487 (1990)
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[Publications] 幅 俊人: "UW Solutionを用いてのラット肝保存の検討:肝保存における血管内皮細胞の意義" 日本外科学会雑誌. 90. 176-176 (1990)
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[Publications] 幅 俊人: "FK506投与時における血管内皮障害の検討" 日本移植学会雑誌. 25. 360-360 (1990)
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[Publications] 平 昇: "部分肝移植の現況と将来の展望ー1Donor,2Recipientの実験的研究ー" 日本消化器外科学会雑誌. 24. 344-344 (1991)