1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480312
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小玉 正智 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50079836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 信國 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50167756)
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Keywords | 輸血 / 免疫抑制 / 成分輸血 / TNPーKiller / suppressor cell |
Research Abstract |
従来から、輸血が腫瘍増殖促進を招くことが報告されてきているが、我々はこの研究において、この機序解明のために、C3H/HeNマウス(Hー2^k)と同系のX5563骨髄腫を用いて、このマウスにC3Hマウス、BALB/C(Hー2^b)マウス等の全血を尾静脈から輸血し、腫瘍径計測・生存率測定を行い、更にこれらのマウスから脾臓を採取し、細胞レベルでの免疫能を検討した。当該年度に解明しえたことは(1)赤血球・白血球・血漿等のどの成分に腫瘍増殖促進がみられるかの検討を行い、特にリンパ球に著明な腫瘍増殖促進があり、赤血球については軽度の促進効果を示したが、有意差はみとめられないという結果を得た。(2)免疫抑制の抗原側からの解析として、Hー2の関与をcongenic miceぉ用いて検討した。具体的には輸血のドナ-としてB10・D_2(Hー2^d)、B10・A(Hー2^a)、B10・BR(Hー2^k)等を使用したが、いずれのドナ-でも程度の差はあれ腫瘍増殖促進がみられ、Hー2以外minor histocompatible antigenの関与も考えられた(現在、実験をrepeat中、デ-タは未発表)。(3)TNPーCTL acitivityをbaseにした、cellーmixing cultureにおけるsuppressor cell誘導は、輸血時期を腫瘍移植7日前しても、腫瘍移植14日後にしてもそれぞれで存在することが更に確かめられた。(4)チオグルコネ-トで刺激した腹腔マクロファ-ジをエフェクタ-として、Pー815を標的細胞とした細胞障害性試験では、輸血の影響は観察されず、マクロファ-ジの関与がないか、他の実験系での検討が必要であろうことが示唆された。
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[Publications] 寺田 信國 他7名: "担癌宿主の生存率に及ぼす輸血の影響" BIOTHERADY. 3. 1129-1132 (1989)
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[Publications] 寺田 信國 他2名: "輸血と癌患者の予後" Oncologia. 23. 61-70 (1990)
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[Publications] 小玉 正智 他4名: "輸血による抗腫瘍免疫抑制に関する研究" 病態生理. 9. 579-581 (1990)
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[Publications] 土増 聡 他2名: "輸血時期を中心とした輸血の抗腫瘍免疫への影響に関する研究" 日本外科学会誌. 93. 1-8 (1992)