1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480313
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 哲郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40162002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 新一郎 大阪大学, 医学部, 教授 (80028513)
三木 哲郎 大阪大学, 医学部, 講師 (00174003)
室谷 昌弘 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
川崎 靖仁 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 甲状腺未分化癌 / 癌遺伝子 / COT / PCR法 / 点突然変異 / loss of heterozygosity |
Research Abstract |
1)新しい癌遺伝子。甲状腺未分化癌の組織からprimary cultureを行ない、6種のcell lineを樹立した。各々についてDNAを抽出し、癌遺伝子の活性化の有無を確認するためにtransfection法を用いて検討した。 活性化癌遺伝子の検索法としては、従来用いられていたNIH3T3細胞を受容細胞とした場合には、これら6種のcell lineのDNAはtransforming activityを示さなかったが、最近樹立されたSHOK細胞ではこれらのうちTCO4で活性が検出された。この活性化遺伝子は、既知の癌遺伝子とは全く異なり、COTと名ずけられた。この新しい癌遺伝子の性状について現在解析中である。 2)癌遺伝子の点突然変異。甲状腺未分化癌におけるras遺伝子の点突然変異についてPCR法を用いて検討した。解析の結果、点突然変異は欧米の報告に較べ頻度が低いことが判明した(4例中1例)。その原因について検討している。その他、甲状腺髄様癌では30例中1例、副腎の褐色細胞種では12例中2例、甲状腺乳頭癌では20例中2例でras遺伝子の点突然変異を確認したが、いずれも頻度は低かった。また、ホルマリン固定標本からのDNAの抽出、PCR法を用いた遺伝子の増幅にも成功している。 3)DNAの塩基配列多型(RFLP)を利用した甲状腺未分化癌における遺伝子の欠失についてはploidy patternの多様性等の問題から検出が困難であり、現時点では特定の領域に限った変異は確認されていない。今後、甲状腺未分化癌への転化機構にどのような遺伝子異常が関与しているか、さらに検討を重ねたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takatsugu Higashi,Hitoshi Sasai,Shin-ichiro Takai,et al: "Hamster cell line suitable for transfection assay of transforming genes" Natl.Acad.Sci.USA. (1990)
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[Publications] M.Okazaki,A.Miya,N.Tanaka,T.Miki,M.Yamamoto,K.Motomura,A.Miyauchi,T.Mori and S.Takai.: "Allele loss on chromosome 10 and point mutation of ras oncogenes are infrequent in tumors of MEN2A." Hery Ford Hosp.Med.J.(1989)
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[Publications] T.Shimotake,N.Iwai,J.Yanagihara,T.Kobayashi and S.Takai.: "Results of a screening program for multiple endocrine neoplasia." Henry Ford Hosp.Med.J.(1989)
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[Publications] 高井新一郎、小林哲郎、森武貞: "甲状腺未分化癌への対策" 外科治療 61(増刊). 61. 375-378 (1989)
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[Publications] 山本正之、東孝次、中森正二、岡崎誠、宮章博、高井新一郎: "「DNA診断ー分子生物学の臨床応用ー」 第V編 癌遺伝子とDNA診断 4.ヒト癌遺伝研究の動向とDNA診断 7)甲状腺癌。" 日本臨床 47(増刊号). 47. 663-668 (1989)
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[Publications] 芝英一、宮内哲輔、小林哲郎、高井新一郎、森武貞: "癌の増殖とホルモン" 癌と化学療法 16(12). 16. 3678-3684 (1989)