1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト食道癌の悪性度評価に関する研究-特に癌遺伝子、遺伝子産物の検討
Project/Area Number |
01480320
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西平 哲郎 東北大学, 医学部, 講師 (50101142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 清人 東北大学, 医学部, 助手 (10187338)
赤石 隆 東北大学, 医学部, 助手 (40200331)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 助手 (20192106)
平山 克 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (20181191)
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
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Keywords | EGFR / erbB-2 / hst-1 / 食道癌 / 遺伝子増幅と予後 / Southern blot法 / Nothern blot法 / GST-π |
Research Abstract |
1.Southern法を用いた検討ではEGFR,erbB-2ともに食道癌ではその正常上皮と比較して遺伝子増幅の頻度は少なかった(数%)。しかし、これまでerbB-2の増幅の示されていなかった扁平上皮癌において1例ではあるが高度増幅例の存在が認められた。また、erbB-2の増幅している例ではhse-1も増幅していた。 2.hst-1をプロ-ブとしたSouthern blotを用いてその遺伝子増幅を検討すると正常上皮に比較して食道癌35例中8側に高度増幅(5<)を、11例に軽度増幅を認めた(増幅例54%)。このように高頻度の増幅が食道癌で特異的に起こることは、同一の遺伝子座に存在するint-2についても知られており、この11q13という遺伝子座が食道癌において特異的な役割を果たしていることが示唆された。しかしNorthern blotの結果よりhst-1mRNAの発現増大はいずれの例でも認められず、hst-1の増幅は転写量の増大には結びつかない種類のものらしいことが明らかになった。 3.Kaplan-Meier法を用いて生存率検定を行った結果、hst-1高度増幅群と他の症例群との間で有意差が認められ、hst-1高度増幅例の予後が不良であることが明らかになった。 4.食道癌株化培養細胞を用いて同様にhst-1,erbB-2について検索した。当教室で樹立した細胞株についても臨床例同様全ての例にhst-1の増幅が認められ、そのうち1例ではerbB-2もまた増幅していた。 5.抗GST-π抗体を用いた検索では、殆どの食道癌でGST-πが高値を示しているが、その臨床的意義について現在検討解析中である。
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