1989 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜防御機構の動態からみたストレス潰瘍発生機序と治療法の解明
Project/Area Number |
01480332
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
北島 政樹 杏林大学, 医学部, 教授 (90112672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金武 朝春 杏林大学, 保健学部, 講師
木内 立男 杏林大学, 医学部, 助手
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Keywords | ストレス潰瘍 / 壁細胞 / ミトコンドリア / 分泌細管 / レクチン |
Research Abstract |
小動物用の内視鏡、特殊架台の作成 より屠殺せずに経時的に胃の観察が可能となり、ヒト・ストレス潰瘍と同様の胃病変が観察し得た。この成績より実験的にストレス潰瘍の病態生理の究明が容易となった。 まず酸分泌動態を壁細胞の電顕像観察、画像解析装置により処理したところ。先の生化学的研究成績を裏付けることが出来、低酸分泌動態を示した。これは一壁細胞の面積における分泌細管の面積を測定したものであり、同時にミトコンドリアの形態による細胞活性の程度も観察可能であった。次にストレス下における細胞回転あるいは糖結合蛋白の変化を観察した。HRP法(horse radish peroxidase)を用いて7種類のレクチンを染色したところ、PNA、DBAのレクチンに興味ある所見が得られた。すなわちストレス状態下ではレクチンの局在、分布が経時的に増加しており、特に壁細胞においてはPNAの染色性が著明であった。さらに治療法としてH_2受容体拮抗剤および速切術を施行したところ有意に局在、分布が尚増を示し、治療法として有効であることを示唆した。 但し、レクチンの結合、分布の変化が細胞回転を示しているのが明らかでなく、現在^3H誘導体であるBrduモノクロナ-ル抗体を用いて比較検討中である。 さらに局在を詳細に検討するために電顕像を観察したところ、分泌細管の微絨毛に認められ、酸分泌との関連で興味ある所見であった。 以上の実験成績よりストレス潰瘍発生時は酸分泌は低下しており、逆に糖結合タンパクの増加が認められ、特に壁細胞においてこの現象が著明であった。 このことより壁細胞に攻撃、防御の二面的自己調節能が想定され、従来、酸分泌のみと考えられていた壁細胞の機能に対して興味ある知見が得られた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 北島政樹: "胃・十二指腸 膜の防御機構ー各種防御因子の役割ー" 医学のあゆみ. 149. 879 (1989)
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[Publications] 北島政樹: "外科の立場からみたAGMLの概念" 胃と腸. 24. 619-628 (1989)
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[Publications] 北島政樹: "薬剤性胃粘膜障害発症に関する一考察ー臓器相関を中心にー" Therapeutic Research. 10. 9-13 (1989)
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[Publications] 北島政樹: "急性胃粘膜病変(AGML)とその周辺ー熱傷ー" 最新医学. 44. 2039-2044 (1989)
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[Publications] 北島政樹: "粘膜微小循環と胃粘膜防御" 治療学. 23. 13-17 (1989)
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[Publications] Kitajima,M.: "Gastric Microcirculetory change and Development of Acute Gastric Mucosal Lesions(Stress ulcer)" Acta physiologica Hungarica. 73. 137-148 (1989)
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[Publications] Kitajima,M.: "Ulcer Disease:New Aspects of Pathogenesis and Pharnacology" Sandor Szabo & Carl,J.Pfeiffer, 444 (1989)