1991 Fiscal Year Annual Research Report
胃全摘後の再建術式が胃癌手術の遠隔成積に及ぼす影響ー空腸Pouchの効果に関する研究ー
Project/Area Number |
01480335
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
日置 紘士郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (60077641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中根 恭司 関西医科大学, 医学部, 講師 (60155778)
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Keywords | 胃全摘術 / 空腸Pouch / quality of life / 栄養評価 |
Research Abstract |
前年度と同様に胃癌全摘例の再建術式をRouxーY法(RY)、空腸Pouch作成RouxーY法(PR)、Pouch作成Interposition法(PI)の3群に分けrandomized Controlled studyを行なっている。現在までに26例が対象となり、このうち再発死亡例を除いた術後6カ月以上経過例はRY6例、PR6例、PI3例であり、このため今回はRYおよびPRの2群で比較検討した。検討項目としては術後3,6,12,24カ月目に術後愁訴、1回食事摂取量、摂取回数、術後体重等につき問診し、栄養指標としてTP,Alb,T.Chol,TG,PLおよび末梢血リンパ球数とAlb値から算出する小野寺らの栄養指数について比較検討した。また脂肪吸収障害の指標として体内で合成されない必須脂肪酸についても測定した。さらにPouchが代用胃としての貯留能があるかどうかについて ^<99m>Tcを用いて検討した。 術後愁訴は各群とも重篤なものはみられなかった。1回食事摂取量のうち術前健康時の80%以上摂取可能症例は、術後6,12,24カ月目でRYではそれぞれ1/6(17%),2/6(34%),2/5(40%)であるのに対してPRではいずれも100%であった。術後体重(健康時体重との比較)は6,12カ月とも両群間に差はみられなかったが、24カ月ではPR群にやや回復傾向がみられた。各種栄養指標の比較ではいずれも正常範囲内の変動であったが、TP,Alb値においてPR群で24カ月目に有意に高値を示した。必須脂肪酸に関しては両群とも健康対照例に比して有意に低値を示したが、両群間に差はみられなかった。次にRI停滞率についてみるとPRでは摂取後5分平均値が26.2%に建してRYでは4.5%でPRに多少の貯留能があるものと判断された。 以上PI群との比較検討を要するが、空腸Pouchを造設したRouxーY再建はquality of lifeの面からみて有効な術式であると考えられた。
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