1989 Fiscal Year Annual Research Report
生体内多臓器同時無侵襲機能評価法の確立に関する実験的研究
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01480341
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
広瀬 一 岐阜大学, 医学部, 教授 (20101272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 敬 岐阜大学, 附属病院, 医員
村川 真司 岐阜大学, 医学部, 助手
森 義雄 岐阜大学, 附属病院, 助手 (40220032)
佐々木 裕茂 岐阜大学, 附属病院, 医員
鬼束 惇義 岐阜大学, 医学部, 助教授 (00092924)
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Keywords | 臓器移植 / 臓器保存 / 多臓器無侵襲的機能評価法 / 臓器潅流 / 高エネルギ-燐酸化合物 / 組織血流量計 / ^<31>P-MRS |
Research Abstract |
本計画は平成元年度の研究費申請受理が遅れたため、装置の購入が遅れ、研究の進行も大幅に遅れている。 全身用MRI装置(静磁場強度1.5T)を用いた実験では、大動物の臓器の燐化合物の測定の基礎とするために、人工心肺回路を用いて潅流した雑種成犬摘出肝臓の^<31>P-MRSを測定した。本実験ではATP等高エネルギ-燐酸化合物の観測が可能であった。これに先立って施行した大動物(ブタ)を用いた摘出肝臓の^<31>P-MRSでは温阻血時間を10分以内とし、4℃酸素化乳酸化リンゲル液を点滴回路にて滴下したにもかかわらず、無機燐、phosphomonoester(PME)、phosohodiester(PDE)、NADHしか観測されず、低温としても潅流量を充分とらなければ高エネルギ-燐酸化合物の測定は困難であることがわかった。また、ヒトの肝臓にて領域指定(DRESS法)をしてin vino ^<31>P-MRSを行い、肝臓固有のスペクトルを得た。 実験用NMR装置GX-270を用いた実験ではラットを用いて低温時の摘出心の代謝状態を評価するために温度変化時の観測パラメ-タ-(T_1時間、感度など)の変化について検討し、常温時の代謝状態と比較、低温保存臓器のviabilityの判定のための基礎デ-タ-とした。また、当初、臓器の保存にEuro-Collis液を使用する予定であったが、最近肝移植の臨床で実際に用いられている新しい臓器保存液UW solutionの保存心に対する効果を検討し、良好であったので、この使用についても検討している。また、潅流肝臓を用いて、温阻血時の燐化合物の代謝を検討し、45分の常温虚血ではATPの回復は虚血前の39%でしかないことを示し、脳死ドナ-からの摘出前臓器が経験するであろう低血圧の影響を検討する上での基礎デ-タ-とした。 さらに、移植臓器の組織血流量を測定するために使用する予定のレ-ザ-ドップラ-組織血流量計をもちい単純浸漬保存後のイヌ頚部異所性移植心の組織血流量を測定し、また電子顕微鏡学的検討も行い、その方法が評価に使用できることを確認した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 森義雄: "移植心の心機能回復時間に関する実験的研究-単純浸漬保存心における保存時間別検討-" 日本心臓血管外科学会雑誌.
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[Publications] 村川真司: "異なる温度における潅流心臓の^<31>P-NMRスペクトルの評価" 日本磁気共鳴医学会雑誌.
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[Publications] 村川真司: "^<31>P-NMR法を用いた肝虚血障害時の高エネルギ-燐酸化合物の変動の検討" Cyto-protection & biology.
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[Publications] 村川真司: "^<31>P-MRSよりみたラット摘出心低温虚血におけるうW液の効果" 外科治療.