1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480343
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
平 明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30041289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井畔 能文 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (20222854)
川島 淳宏 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10214636)
竹中 晃司 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (50231402)
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Keywords | 心臓リンパ / 心筋虚血 / ヒアルロニダ-ゼ / 心筋局所血流量 / ACーバイパス |
Research Abstract |
【目的】われわれは従来より心臓のリンパが心臓の病態生理に深く関わっている事を重視して研究を行ってきた。最近の心筋梗塞モデルから得られた知見は、1)心筋の虚血、阻血は心臓リンパのうっ滞につながる。2)心臓リンパのうっ滞のあるところでは心筋の虚血性変化の回復は悪い。3)心臓リンパを積極的に誘導排除することで心臓の虚血性病変を軽減させうることである。以上の知見に立脚して今回の実験では 1)冠動脈血流量を定量的に変化させることでの心臓リンパの流量の変化とそれに伴う心筋局所血流量の変化を明らかにする、2)同一の実験モデルでヒアルロニダ-ゼによりリンパ液を誘導し、その影響を主として心筋血流量の変化として観察し検討する。この二点を目的とした。【方法】雑種成犬を用い内胸動脈ー左前下降枝バイパスグラフトを挿入法で作成し、グラフト流量(GF)を自由に操作することで虚血におちいる心筋の部位を解剖学的に可及的に一定とし、その部位の心外膜、心内膜側の心筋局所血流量を水素ガスクリアランス法で測定した。同時に心臓リンパの流量を経時的に従来の方法で測定した。【成績および考案】GFを50%に制限すると心筋局所血流量は心外膜側で29.8%、心内膜側で38.4%と減少したが、心臓リンパの流量には変化がみられなかった。一方、50%流量制限と同時にバイパスグラフトよりヒアルロニダ-ゼを投与するとリンパ流量は有意に増加し、心筋局所血流量の減少率は心外膜側で3.0%、心内膜側で8.5%にとどまった。バイパス操作前後での心臓機能には有意の変化はみられなかった。実験の結果、冠動脈の血流を減少させ心筋内に虚血状態を生じ得る条件を作成してもヒアルロニダ-ゼで心臓リンパを誘導する限り、心筋内に虚血は生じないことが判明した。この実験結果は先にヒアルロニダ-ゼで心臓リンパを誘導すれば心筋梗塞におちいる範囲が減少するとしたわれわれの成績の裏付けとなり得るものと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Akira Taira,et al.: "Active drainage of cardiac lymph in relation to reduction in size of myocardial infarctionーAn experimental studyー" Angiology. 41. 1029-1036 (1990)
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[Publications] 福田 茂: "心臓リンパの研究ー実験的心筋梗塞に関連して" 日本脈管学会誌. 31. 653-660 (1991)
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[Publications] 平 明: "心臓リンパの研究ーとくに心臓外科技術に関して" 病態生理. 10. 584-586 (1991)
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[Publications] 平 明,福田 茂: "臓器と微小循環障害" 治療学. 26. 71-74 (1991)