1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480352
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
古林 秀則 福井医科大学, 医学部, 講師 (80126581)
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Keywords | 脳血管攣縮 / 脳底動脈 / くも膜下出血 / エンドセリン |
Research Abstract |
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の治療で現在最も重要な問題となっているのは、脳血管攣縮により惹起される遅発性脳虚血症候群であり、その本体は十分に解明されていない。1988年に発見された血管収縮物質エンドセリンは血管内皮細胞より産生されるがペプタイドで、in vitroの実験では血管収縮作用が強力で作用時間も長時間であることが報告されている。このエンドセリンを脳血管攣縮の原因物質と想定し、この研究を行った。エンドセリンを犬の脳脊髄液中に注入し、脳血管撮影を経時的に行った。脳血管の収縮は著しく、24時間の観察では収縮は持続した。この収縮はエンドセリンの濃度依存性であった。エンドセリンの投与約5分後より全身血圧は著明に上昇し、約30分間持続しその後投与前の値に戻った。カルシュウム拮抗剤のニカルジビンを前もって脳脊髄液中に投与すると、エンドセリンに依る脳血管収縮は全く見られなかった。ニカルジビン投与群では全身血圧への影響は上昇開始時間、持続時間は不変であったが、血圧上昇は抑制された。今後はエンドセリンによる脳血管の変化を光学顕微鏡を用いて免疫組織学的に、また電子顕微鏡を用いて観察予定である。臨床的には脳血管攣縮はくも膜下出血後1週間後に著明である。犬の脳脊髄液中に、血液を注入したくも膜下出血群とエンドセリン投与群を作成して注入前と注入1週間後に脳血管撮影を行い両群の脳血管血管攣縮を比較検討する。その後、脳の灌流固定を行い脳血管を採取する。エンドセリン抗体を用いて免疫学的に両群の血管のエンドセリン分布を確認する。また、電子顕微鏡で血管内皮の変化や中膜平滑筋層の変化を観察し、両群で比較検討予定である。
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Research Products
(1 results)