1989 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋内圧亢進時における頭蓋内圧脈波形・髄液拍動・脳血流速度の関係
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01480359
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
永井 肇 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (00023747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 茂幹 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (80169044)
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Keywords | Intracranial pressure / cerebral blood flow velocity / cerebral blood flow / cererbrospinal fluid flow / normal pressure hydrocephalus / SPECT |
Research Abstract |
脳動脈血流速度モニタ-の導入が遅れたために、現在まで症例数が少なく十分なデ-タの解析が行われていない。 1.シャント手術によって症状の改善が期待できるくも膜下出血後の正常圧水頭症において、手術後症状が改善しなかった症例の前大脳動脈および中大脳動脈の血流速度を測定した。血流速度はシャント手術前(61.5cm/s)、手術後(59.0)で有意な変化は認められなかった。しかし持続頭蓋内圧モニタ-ではB波の出現頻度が30%以上と比較的多く、CT cisternographyおよびMRIでは強い髄液循環障害を示したので、従来の報告からこの症例ではシャント効果が当然期待されるはずであった。今後さらに症例を重ねて髄液除去前後の脳動脈血流速度の変化とシャント手術効果との関係を調べ、比較的簡便な手術適応の指標としての本法が有効であるかどうか検討する予定である。 2.中脳水道におけるMRI上でとらえた髄液のflow patternとCT cisternographyにおける造影剤の動きとの間には強い相関があることを明かにした。今後髄液の循環動態と血流速度との相関についても検討する。 3.正常圧水頭症の症例をくも膜下出血を伴った群と伴わなかった群とに分け、^<123>IーIMP SPECTにより脳血流を測定した。くも膜下出血群の4例では明かに前頭葉の血流低下を示したが、非出血群の7例では全体的な血流低下を認めたが前頭葉の血流低下は明かでなかった。腰椎穿刺による髄液を排除すると、くも膜下出血群の4例では、約10%血流が増加したが、他の7例においては血流は増加しなかった。これらの結果は、正常圧水頭症ではこの原因疾患により髄液循環、脳循環動態に差があることを明らかにし、それを知る一つの指標として脳動脈血流速度測定の重要性を明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 永井肇: "正常圧水頭症の治療" 神経内科治療. 6. 17-26 (1989)
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[Publications] 永井肇: "正常圧水頭症" 中部老年期研究会. 99-105 (1989)
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[Publications] 上田行彦: "急性頭蓋内圧亢進時の脳静脈系血管内圧脈波変化" 名古屋市立大学医学会雑誌. 41. 1-14 (1990)
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[Publications] Ken Kamiya: "^<123>I-IMP SPECT in NPH cases" Neurologia medico-chirurgica.
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[Publications] 永井肇: "髄液の検査 持続的髄圧測定" Clinical Neuroscience. 8. (1990)
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[Publications] 永井肇: "新小児脳神経外科学" 医学書院,
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[Publications] 永井肇: "水頭症における頭蓋内病態" にゅ-ろん社,