1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480363
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Research Institution | Kyoto university |
Principal Investigator |
滝 和郎 京都大学, 医学部, 講師 (70144368)
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Keywords | 脳動脈瘤 / 脳動静脈奇形 / 頚動脈海綿静脈洞度 / 血管内手術 / 塞栓術 |
Research Abstract |
脳動静脈奇形に対する血管内治療法は、脳動静脈奇形の流入動脈にcatheterを誘導し、経catheter的に奇形を介する循環を閉塞させるような塞栓物質を注入し、奇形を正常脳循環から隔絶することを目的としている。注入される塞栓物質には、神経のcatheterからの注入が安全かつ容易に施行可能であること、塞栓物質が病変部位に留まること、生体内で安定に存在し、分解を受けないこと、急性あるいは慢性期に生体毒性を示さないこと、良好な造影性を有すること、外科的な摘出を妨げないことなどが必要条件として挙げられる^<1)>。しかしながら、現在、これらの条件を満足する塞栓物質は存在しない。 われわれは、これらの条件を満足するような液体塞栓物質の開発を行なうため、Eudragit^REー100のethanol溶液についての基礎的実験を行なった。 Eudragit^REー100のethanol溶液(A液)は、溶媒であるethanolが拡散することにより、Eudragit^REー100が析出し、血管を閉塞する。急性期から慢性期の組織反応性を検討するため、Wister Rat(体重300〜450g)で、ネンブタ-ル(500mg/Kg)麻酔下に、腎動脈に外径0.8mmのシリコン製tubeを挿入し、このtubeを介してA液0.05mlを注入した。注入後、1時間、1日、1週間後より12週間後まで1週間毎に、sacrificeして、注入側腎臓を摘出し、組織学的検索を行った。A液注入後1時間、1日では、特に変化を認めなかったが、1週間後より直径約200μm以上の動脈で血管内皮細胞の変性、脱落が認められたが、血管周囲への炎症性細胞浸潤はほとんど認められなかった。3週間以後には、壊死性血管炎の所見が認められるようになり、8週間以後には、肉芽腫性血管炎の所見が認められるようになった。閉塞された血管の再開通は認められなかった。
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[Publications] 滝 和郎,菊池 晴彦,岩田 博夫,筏 義人: "脳血管障害に対する血管内手術法" 日本放射線技術学会雑誌. 47. 1962-1968 (1991)
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[Publications] 田中 公人,郭 泰彦,滝 和郎: "椎骨脳底動脈瘤とSEPモニタリング" 脳神経外科. 19. 343-348 (1991)
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[Publications] 滝 和郎,菊池 晴彦: "脳神経領域におけるIVRの現況" 映像情報. 23. 1157-1160 (1991)
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[Publications] 定藤 章代,滝 和郎,菊池 晴彦: "脳動静脈奇形の最近の塞栓術" CLINICAL NEUROSCIENCE 別冊. 9. 110-111 (1991)
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[Publications] 定藤 章代,滝 和郎,西 正吾,山下 耕助: "脳動静脈奇形の治療ー塞栓術についてー" ブレインナ-シング. 7. 19-24 (1991)
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[Publications] 山下 耕助,岩田 博夫,滝 和郎,西 正吾: "新しい液体塞栓物質の開発ーオイドラギットの応用ー" 第8回血管内手術研究会講演集.
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[Publications] 滝 和郎: "脳神経外科領域における血管内手術法" ヘルス出版, 174 (1991)