1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480366
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
見松 健太郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (10126906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 良夫 名古屋大学, 医学部, 助教授 (70106227)
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Keywords | 脊髄 / 慢性脊髄障害 / 動物実験 / 脊髄誘発電位 |
Research Abstract |
当研究の目的は、慢性に圧迫された脊髄の初期の機能的変化を知る目的で家兎の黄色靭帯骨化モデルを作り、脊髄の圧迫による脊髄誘発電位(ESCP)の変化について調べることであった。 方法:花村らの方法で抽出した家兎骨形成因子(BMP)と粉砕した腸骨を用いて家兎の黄色靭帯上に移植し、村上・岸の方法に準じて黄色靭帯骨化による脊髄慢性圧迫動物を作成した。圧迫の程度を知るため、作成後4カ月で家兎の脊髄造影を行った。圧迫所見が得られた時点で頭部、脊髄硬膜外腔、坐骨神経に電極を置いてESCPを調べた。検査後、麻酔下に家兎を屠殺し、脊髄を組織学的に検索した。実験に用いた兎は67羽であった。この内実験中死亡したり、脊髄への急性圧迫損傷を生じたり、圧迫所見のない兎を除く慢性脊髄圧迫兎の16羽と正常コントロ-ルの6羽で所見を得、比較検討した。 結果:黄色靭帯部の骨化が出現し、術後平均40.6週で脊髄圧迫率は平均15.3%であった。坐骨神経刺激でT8記録の上行性ESCPでは第1波の潜時は、正常家兎と有意差を認めなかった。しかし、頭部運動野刺激のL6記録、すなわち下行性ESCPでは、圧迫率10%以上の脊髄では危険率P<0.005で有為に第1波の遅延を認めた。またL6刺激のT8記録による上行性ESCPでも、圧迫率10%以上の脊髄ではP<0.0025で潜時の遅延を認めた。組織変化は圧迫率20%以上のモデル4羽の内3羽に認め、主に後索の大径線維の減少であった。 まとめ 1.慢性脊髄圧迫では、急性圧迫より軽度の圧迫で脊髄誘発電位に変化を生じた。 2.背側からの慢性圧迫脊髄は後索から後側索の浅層に障害が生じていた。 3.麻痺.組織変化を来す前に脊髄誘発電位に変化を認めた。
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