1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480377
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 健次郎 京都大学, 医学部, 教授 (20025620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 慎一 京都大学, 医学部, 助手 (10207714)
村川 雅洋 京都大学, 医学部, 助手 (90182112)
荒井 俊之 京都大学, 医学部, 助手 (80175950)
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Keywords | 神経伝達物質 / ハロセン / パントバルビタ-ル / ジアゼパム / GABA / グリシン / アスパルギン酸 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
麻酔薬の神経伝達機構の及ぼす影響を、全脳、脳組織ならびに脳細胞のレベルで検討した。 全脳レベル:ラットに一定時間ハロセンを吸入させた後、全脳を摘出し、そのアミノ酸含量を質量分析計付ガスクロマトグラフにて測定した。アミノ酸としては、神経伝達物質とされるグリシン(GLY)、ガンマアミノ酪酸(GABA)、アスパルギン酸(ASP)、グルタミン酸(GLU)に注目した。結果は、高濃度ハロセン(3.4%)を吸入させた場合に、興奮性伝達物質であるASPならびにGLUの含量の増加がみられた。これは、これらのアミノ酸の脳内での利用が低下した、即ち脳での興奮性活動がハロセンにより低下したためと考えられた。 脳組織レベル:ラット生体脳へ微小灌流用プロ-ベを挿入し、フラクションコレクタ-にて脳内細胞外液を採取し、そのアミノ酸の含量を、液体クロマトグラフを用いて測定した。この結果、ラットに麻酔薬(ペントバルビタ-ル)を予め投与した場合、細胞外液内のASPならびにGLUの含量が減少した。このことから、ペントバルビタ-ルは興奮性神経伝達物質の脳組織からの遊離を抑制すると考えられた。 脳細胞レベル:ラット大脳皮質よりシナプス膜を作成し、これに含まれるジアゼパム受容体とラジオアイソト-プで標識したジアゼパムの結合の多寡を、麻酔薬存在下、非存在下で比較検討した。ペントバルビタ-ル存在下では、ジアゼパムの受容体結合は増加した。一方、ハロセンの存在下でも、ジアゼパムの受容結合は増加した。しかも、これらの結合は、外液のクロライドイオン濃度に依存していた。このことより、ペントバルビタ-ルならびにハロセンは、ともにジアゼパム/GABA/クロライドチャンネル複合体(GABA受容体)に影響を及ぼすことによって、その中枢神経抑制作用を発揮すると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshiyuki Arai: "The effects of holothane on the contents of Putative transmitter amino acids in whole rat brain" Neuroscience Letters.
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[Publications] Shin-ichi Nakao: "The effects of holothane on the receptor binding of diazepam." Acta Anaesthesiologica Scandinavia.