1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480382
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
並木 幹夫 大阪大学, 医学部, 助手 (70155985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正広 大阪大学, 医学部, 助手 (60135689)
奥山 明彦 大阪大学, 医学部, 助教授 (20093388)
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Keywords | 精巣 / ステロイドホルモン / アンドロゲン受容体 / mRNA |
Research Abstract |
研究課題の初年度である本年度は、まずヒト精巣組織より実験に用いるのに十分なmRNAの抽出が可能か検討した。即ち、in vivoの条件下で得られたヒト精巣組織1g当たりLiCl法で100μg程度のtotal RNAが、さらにoligo-dT columnを使用することにより2μg程度のmRNAが得られることが判明した。またin vitroで器官培養の実験を行なった後の精巣からも同様にmRNAを得ることが可能であった。以上の検討の後、以下の検討を行なった。 1.estrogenが17α-hydrokylase mRNA及びandrogen receptor(AR)mRNAに及ぼす作用 (1)in vivoの検討:無治療前立腺癌患者及びestrogen剤投与後の前立腺癌患者の去勢術に際し得られた精巣中の17α-hydroxylase mRNA、AR mRNAを測定し、estrogen投与群では無治療群精巣に比し有意に両mRNAが減少していることが判明した。 (2)in vitroの検討:無治療前を腺癌患者の精巣を器官培養し、培養液中にestrogenを含んだ群と含まない群で精巣17α-hydroxylase mRNA、AR mRNAを比較し、estrogen添加群では有意に精巣17α-hydroxylase mRNA、AR mRNAが減少していることが判明した。 (1)(2)の結果より、estrogenは17α-hydroxylaseを低下させ男性ホルモン合成を減少させるのみならず、標的部位でARを減少させることが判明した。 2.estradiol、progesteroneによるsteroid 21-hydroxylaseの誘導 (1)in vitroの検討:Leydig細胞腫ではestradiol、progesteroneのみならず本来精巣では産生されないcorticasterone、bocが産生されるため、腫瘍組織中のsteroid 21-hydroxylase mRNAを測定し、腫瘍組織中にこのmRVAの存在を証明した。 (2)in vivoの検討:器官培養下のヒト精巣に大量のestradiol、progesteroneを投与した後、corticosterone、DOCが培養液中に分泌されることを証明した。 (1)(2)の結果よりestradiol、progesteroneによる21-hydroxylaseの誘導が判明した。
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