1991 Fiscal Year Annual Research Report
腎・頭頚部腫瘍に対する細胞障害性(キラ-)リンパ球療法の改良
Project/Area Number |
01480383
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Research Institution | Faculty of Medicine, University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田辺 将夫 琉球大学, 医学部・細菌学教室, 助教授 (30049077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古謝 静男 琉球大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (60161923)
早川 正道 琉球大学, 医学部・泌尿器科, 助教授 (00095639)
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Keywords | LAK / TIL / サイトカイン / 腎癌治療 / 骨髄細胞 / マイナ-組織適合抗原 / CTL / X染色体(遺伝子産物Xir) |
Research Abstract |
LAKとTILの細胞障害能を比較した。腎癌細胞株のみならず新鮮自己癌細胞に対しても、LAKの方がより高い障害活性を示し、腎癌においてはTILの自己癌細胞に対する特異性は認められなかった。臨床的には、低濃度のILー2と併用したLAKの静注投与では有効例が9例中1例も見られなかったが、動注では9例の16転移巣中8転移に腫瘍の収縮が見られた。肺転移以外の転移巣の治療に関しては、LAKの動注が他の投与経路よりすぐれていると結論した。LAKの体内動態に関しては、腎癌マウスとヒト転移性腎癌症例を用いた場合、動注では静注に較べより高い腫瘍組織内LAK移行率が得られたが、ヒトでは2時間、マウスでは18時間目の測定で、LAKがほとんど組織から消失した。従って、LAKと腫瘍細胞の接着による直接的障害以外の他の作用機序も検討した。LAK細胞は腎癌細胞と短時間接触するだけでIFNーγやTNFーαのサイトカインを産出し、またモノサイトの抗腫瘍作用を誘導する因子も産生した(早川)。 骨髄細胞中の非T、非B細胞は、CTL前駆細胞に働きかけ、アロの主要組織適合抗原(MHC)やマイナ-組織適合抗原(mH)に対するCTLの誘導を補助することを既に見出している。この非T、非B細胞をヘルパ-細胞とし、mHに特異的なCTLを誘導したところ、このCTLは、Xー染色体遺伝子産物(Xir)にのみ特異性を示し、またCTLはXirが自己の時には誘導されず、非自己の時のみ誘導された。この事は、Xirが自己・非自己識別の中心的役割を担い、非T非B細胞およびCTLの前駆細胞は、Xirが自己が非自己かを認識し応答する事を示している。次に、腫瘍においてもやはりXirに相当する抗原が存在していることを認め、また腫瘍Xir様抗原に特異的なCTLを誘導する事が出来た。現在、この概念をヒトの腫瘍の治療に応用出来ないかどうか、ヒト骨髄細胞を用いて検討中である(田辺、古謝)
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Hayakawa.,Y.Koyama.,R.D.Williams.and A.Osawa: "Lymphokineーactivated killer traffic assay and our preliminary clinical results of regional arterial infusion of lymphokineーactivated killer cells for renal cell carcinoma" Urologica Internationalis. 47. 127-131 (1991)
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[Publications] 早川 正道,秦野 直,比嘉 功,小山 雄三,大澤 炯: "腎癌に対する免疫療法の進歩と問題点" 西日本泌尿器科. 53. 325-334 (1991)
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[Publications] 早川 正道: "進行性腎癌に対するLAK療法ー臨床成績とLAK療法に関する基礎的検討ー" 泌尿器科紀要. 38. (1992)
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[Publications] M.J.Tanabe: "Prethymic nylon woolーpassed bone marrow cells,substitutings for T helper cells,can augment the generation of cytotoxic T lymphocytes from thier precursors." Microbiol,Immunol.35. 1115-1130 (1991)
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[Publications] 田辺 将夫: "免疫における自己・非自己識別機構の研究" 西日本泌尿器科. 53. 317-324 (1991)