1989 Fiscal Year Annual Research Report
妊卵着床と妊娠維持機構における脱落膜の形態と機能に関する研究
Project/Area Number |
01480399
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
木下 勝之 埼玉医科大学, 産婦人科, 教授 (80010354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 俊行 埼玉医科大学, 産婦人科, 講師 (90153535)
竹田 省 埼玉医科大学, 産婦人科, 助教授 (20143456)
佐藤 和雄 日本大学医学部, 産婦人科, 教授 (80010180)
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Keywords | 脱落膜 / 子宮内膜 / PG / HETE / レクチン / 着床 / ガラクト-ス |
Research Abstract |
(1)非妊時の雌マウスの背部より、一側の卵管を結紮して後に、妊娠させた。この結紮マウスの妊娠第一日目より七日目までの、結紮側子宮内膜と非結紮側子宮内膜を別個に採取し、それぞれの内膜におけるPG及びHETEの産生動態を検討した。第一日目より第四日目まで、結紮側と非結紮側ともに、PGE_2、PGF_<2α>、6Kedo、PGF_<1α>の産生は増加した。しかし、非結紮側(着床内膜)では、その後PG産生は抑制され第七日目では第一日目程度に減少した。一方、結紮側(非着床内膜)では、第四日目以後七日目まで、PG産生の抑制は認められなかった。従って、着床後に認められる脱落膜でのPG合成抑制は、全身的な循環ホルモン等によるものではなく、妊卵由来の局所生理活性物質による可能性が示唆された。(2)妊娠マウスの第1日目から7日目までの子宮内膜の凍結切断を調整し、各種FITC標識レクチンで染色し、組織化学的に、内膜表面のレクチンレセプタ-の発現様式を検討した。ガラクト-ス残基に特異的なGSIに対するレセプタ-は、第4日より発現し、以後増強した。(3)妊娠マウスの第3、第4日目にGSIを尾静脈より注入すると、第7日目の子宮内膜は、妊卵の周期で出血巣を形成し、妊娠維持が阻害された。従って、妊娠4日目より発現するガラクト-ス残基を有する子宮内膜表面の複合糖質は、妊娠維持に重要であることが示唆された。(4)ヒト子宮内膜の各時期と、妊娠初期脱落膜を採取し、short incubationした時、放出された12ーHETEを、HPLCにて測定した。PGと異なり、脱落膜でのHETE産生は低下しなかった。従って、12ーHETEの脱落膜における免疫応答への関与が示唆された。 以上、脱落膜における生化学的特異性の一端が明らかとなり、脱落膜の妊娠維持機構における免疫応答の関与へと、研究を展開したい。
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[Publications] 木下勝之 他: "Arachidonic acid metabolism and prostaglandin synthesis in implanted and nonimplanted endometrim of pregnant mouse" Prostaglandin and Medicine.
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[Publications] 木下勝之 他: "妊娠マウス子宮内膜表面のレクチンレセプタ-の解析" 受精と着床.