1989 Fiscal Year Annual Research Report
「顔面神経管内減荷術」下における血流動態神経機能の解析
Project/Area Number |
01480407
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
齋藤 春雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (20026917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎮西 邦彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (70207330)
竹内 俊二 高知医科大学, 医学部, 助手 (50188158)
木村 正 高知医科大学, 医学部, 助手 (70177921)
岸本 誠司 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30115828)
竹田 泰三 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50115763)
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Keywords | 顔面神経 / 麻痺 / 神経変性 / 初期膨化 / 障害部位診断 |
Research Abstract |
顔面神経麻痺の初期治療として血管拡張剤や循環改善剤がしばしば用いられる。我々が科学研究費の補助を得て調べたところによると、高度に障害をうけた顔面神経のうち92%は初期膨化により顔面神経管内に絞扼される。このことは、血管拡張剤や循環改善剤は顔面神経の病変部に到達し得ず、重症例には利かないことも示唆している。 我々のこれまでの研究により、脳脊髄液腔と顔面神経組織間液腔とは交通していて、脳浮腫治療に用いられる高浸透圧利尿剤により顔面神経組織間内圧も低下することを世界で初めてつきとめ(竹内ら'87)、国際学会で発表した(Politzer Society'89)。 それでは、高浸透圧利尿剤は顔面神経管内の血流量を増すであろうか。レ-ザ-ドップラ-法を用いて調査中であるが、無呼吸による血流増大があり、正常であることを確認した顔面神経でも、高浸透圧利尿剤はどれを用いても障害にない顔面神経は血流の増大を見なかった。目下、中等度に傷害された顔面神経のモデルとなる障害を模索しているが、一時的に血流の途絶える状態は得ている。各動物間で安定した状態になった時点で高浸透圧利尿剤の効果を判定する予定である。 高浸透圧利尿剤が障害を受けた神経組織に及ぼす影響については、上記項目との兼ね合で発表する予定である。 側頭骨内顔面神経障害では、障害部位の中枢側で刺激し、末梢側で電位をとるjumpping methodが使えない。顔面神経麻痺の予後診断が不正確になっている理由の1つである。逆行性誘発電位では刺激電流が障害部位を通過する。モルモットによる実験で、側頭骨内の障害部位だけでなく、神経の再生過程も知ることが出来ることが分かった。 前年度に行った科学研究費補助による研究は、順次Acta Otolaryngol Am J Ololaryngolなどの国際雑誌に採用されている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 齋藤春雄: "末梢性顔面神経麻痺" JOHNS. 5. 465-469 (1989)
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[Publications] 齋藤春雄: "顔面神経減荷術" 耳鼻臨床. 82. 1199-1204 (1989)
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[Publications] 齋藤春雄: "顔面神経の変性と再生" Ear Res Jpn. 20. 197-198 (1989)
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[Publications] Takeda T: "Interstitial fluid pressure in the facial nerve;Relationship beween facial nerve pressure and cerebrospinal fluid pressure." Am J Otolaryngol. 10. 345-350 (1989)
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[Publications] 齋藤春雄: "顔面神経麻痺" 日耳鼻. 92. 1783-1784 (1989)
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[Publications] Takeuchi S: "Effects of glycerol and mannitol on the fluid pressure of the facial nerve." Acta Otolaryngol(Stockh). 109. (1990)