1990 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン内耳障害発現にたいする分析電子顕微鏡ならびに免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
01480412
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
古屋 信彦 帝京大学, 医学部, 助教授 (80107606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敬史 帝京大学, 医学部, 助手 (90219569)
千葉 恭久 帝京大学, 医学部, 助手 (90197624)
鴫原 俊太郎 日本大学, 医学部, 助手 (70196369)
吉井 富夫 帝京大学, 医学部, 助手 (00142448)
大門 建夫 帝京大学, 医学部, 助教授 (40091037)
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Keywords | シスプラチン / 内耳障害 / 分析電子顕微鏡(EDX) / 免疫組織化学 / モルモット |
Research Abstract |
平成2年度の研究目標として1)シスプラチン投与量と内耳障害発現の時間的関係明らかにする、2)蝸電図を計測することにより内耳障害より正確に計測する、3)内耳以外に肝臓、腎臓での障害の有無を透過型電子顕微鏡、EDXにて検討する、以上3点について研究を進めてきた。シスプラチン投与量と内耳障害について丸山、千葉らの分担でおこなった。聴性脳幹反応での域値の上昇は高い周波数ほど積算投与量が少量のときから出現し、低い麻波数では比較的抵抗性を示した。15dB以上域値上昇をひきおこすために必要なシスプラチンの量は10匹の平均で見ると8KHzで12mg、1KHzで19mgであった。また蝸電図でAPの高さを指標に域値の変化を計測すると10mg/kg静脈投与後4時間では変化が見られなかった。しかし5ー6時間後にはすでにAPの振幅の低下が見られ、聴性脳幹反応の域値上昇も15ー20dB程度見られた。形態学的変化は大門、丸山、鴫原らの分担でおこなった。透過型電子顕微鏡所見では外有毛細胞にもっとも変化が見られ、細胞質の虚脱、ヘンゼン小体の増加、ミトコンドリアの膨化が対照動物より頻回に観察された。また細胞質内には電子密度の高いやや粗大な粒子を含むライソゾ-ム様顆粒が見られた。この粒子をEDXで観察するとPtが証明された。他の細胞内小器官の分析ではミトコンドリアの1部からPtが証明されたが検出率は低かった。肝臓、腎臓でも同様にEDXにて観察したが前年報告したように肝細胞、クッパ-細胞のライソゾ-ム様顆粒内の多量のPtを見たがこれらが分散エレルギ-の近い燐と異なることを例数を増加させ確信した。これらPtは核質や、糸粒体、ペルオキシゾ-ムからは検出されなかった。腎では尿細管上皮の変性は著明であり、また電子密度の高い粒子を含む顆粒も認められ、Ptも検出された。以上からシスプラチン投与による臓器への移行は内耳外有毛細胞、肝細胞、尿細管上皮みられ、細胞内では主としてライソゾ-ムに沈着し代謝されると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 丸山 敬史,古屋 信彦,大門 建夫 他: "シスプラチン投与モルモットにおける内耳Ptの分布について" Ear Research Japan. (1991)
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[Publications] 千葉 恭久,加納 有二 他: "シスプラチン連続投与による生体測定値の変化" 癌と化学療法. (1991)