1991 Fiscal Year Annual Research Report
開瞼困難、特に眼瞼痙攣の病態生理、治療に関する臨床的及び基礎的研究
Project/Area Number |
01480419
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Research Institution | School of Medicine, Kitasato university |
Principal Investigator |
向野 和雄 北里大学, 医学部, 助教授 (60050473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 佳夫 北里大学, 医学部, 助手 (70186865)
青木 繁 北里大学, 医学部, 講師 (60146496)
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Keywords | 眼瞼痙攣 / 開瞼失行症 / 眼瞼痙攣(混合型) / Prospective study / 上眼瞼挙筋 / 上眼瞼挙筋支配亜核 / アドリアマイシン |
Research Abstract |
1.臨床的研究:いわゆる眼瞼痙攣と考えられる57症例につき、引続きprospectiveに神経薬物治療、一部外科的治療を行ないその結果を詳細に分析した。病型別にはa)特発性眼瞼痙攣38例.b)開瞼失行を伴う眼瞼痙攣(混合型)18例.c)開瞼失行1例であった。それらに対し前回のretrospective studyの結果をふまえ、a)はhyperdopaininergicとの考えからクロナゼパム・グラマニ-ル、ピモンド.b)はhypodopaminergicとの考えからア-テン・アマンタビンを中心に投与した。その結果a)にはその効果には一定の傾向はみられずhyperー,hypoーいずれの状況も存在すると考えられた。一方私共が初めて提唱した混合型は抗コリン剤ア-テンが例外なく有効であったことよりhypodopaminergicであることが確認された。同時に眼挙筋反射(眼窩上神経刺激)の異常が少ないこと、dry eyeが約80%例にみられることを見出した。さらに本症の大脳機能異常へのアプロ-チとして、random刺激による衝動性眼球運動分析(13例)はいずれも正常、さらに脳血流をみるSPECTを6例に行ったが一定の所見はみられなかった。以上を総合し、眼瞼痙攣の発症メカニズムに各種の因子が関与する悪循環図を発表した(向野ら、1991). 2.神経解剖学的研究:昨年に続き、サル、ネコ、ウサギ上眼瞼挙筋支配亜核の神経細胞標識トレ-サ-を用いる研究を進めた。この結果、サルでは1つの運動ニュ-ロンが枝分れして両側の挙筋を支配する特別に分化したものが約1/3を占めることが明らかとなり現在投稿中である(Sekiya et al,1992).一方ネコ・ウサギも同様に詳細に検討し、その局在、同側、交叉支配の比率など初めて詳細に分析され、先ず和文で発表された(平本ら、1991;平本、1991)。ネコ顔面神経へのアドリアマイシンの結果は本年度も十分な結果が出ず引続き継続のプロゼクトとしていく予定である。
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[Publications] 平本 大,関谷 治久,小嶋 良宏,向野 和雄,石川 拓: "上眼瞼挙筋の動眼神経核における支配神経ニュ-ロンについて" 日本眼科学会雑誌(第95回日本眼科学会総合講演抄録). 95巻 臨時増刊号. 309 (1991)
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[Publications] 向野 和雄,本間 啓蔵,青木 繁,平本 大,根本 徹,中里 宣幸,近藤 佳夫,石川 均: "眼瞼痙攣の臨床像" 第45回日本臨床眼科学会 講演抄録集. 109 (1991)
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[Publications] 平本 大: "上眼瞼挙筋支配運動ニュ-ロンの中脳局在ーサル・ネコ・ウサギにおける神経細胞標識トレ-サ-を用いた比較研究ー" 北里医学. 21. 464-473 (1991)
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[Publications] Sekiya H,Kojima Y,Hiramoto D,Mukuno K,Ishikawa S.: "Bilateral innervation of the musculus levator palpebrae superioris by single motoneurons in the monkey" NEUROSCIENCE LETTERS. (1992)