1991 Fiscal Year Annual Research Report
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01480433
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部, 教授 (60013968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 幸雄 長崎大学, 歯学部, 助手 (60136687)
宮本 武典 長崎大学, 歯学部, 助手 (10167679)
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Keywords | ウシガエル / 受容器電位 / 味細胞 / トランスダクション / チャネル / ポンプ / パッチ電極 / NaCl |
Research Abstract |
最近、味覚のトランスダクション機構の研究は、パッチ電極によるホ-ルセル記録によって行われている。しかしこの場合、味刺激は単離味細胞全体に与えられるために、味受容膜以外の大きな面積をしめる基底外側膜も同時に刺激される。そのため、種々チャネル・ポンプの興奮・抑制が起き複雑な現象が生じ、正しい味覚トランスダクションの究明には至らない。そこで我々はそのような欠点を除くために味受容膜にcellーattachedの状態でパッチ電極を置き、その1本の電極で膜電流記録と膜味刺激を同時に行なうという試みを行った。正常リンガ-で満たした電極で、ウシガエルの単離味細胞の味受容膜にcellーattachedパッチを形成した時、著しいチャネル活動は見られない。この状態ではOmV(静止電位に相当する値)を通る直線的な電流・電圧関係を示した。電極内を0.5MNaClで潅流すると、著しいノイズを伴った内向き電流(トランスダクション電流)が生じた。この時、膜の透過性は著しく増大しており、逆転電位は約20mVの正側に変動した。再び電極内を正常リンガ-に戻すと膜透過性は低下し、逆転電位もOmV近くに戻った。0.5MNaCl刺激に10mMBaを加えると、逆転電位に著しい変化は起こらず膜透過性だけが減少する例が見られた。ここで得られた逆転電位値及びBa^<2+>によるブロックからして本チャネルはKチャネルである。[K]_i=130mM,[Na]_i=10mVとしてGoldmanらの式からP_<Na>/P_K=0.1と求められる。このことからNaCl刺激のトランスダクションに関与する味受容膜に存在するKチャネルは1価のカチオンに対する選択性が弱いといえる。今後は、味受容膜に存在する種々チャンネルについての単一チャネルの探索・解析が大きな課題であり、これらが4基本味刺激情報の変換にどのように関与するのかを究明しなければならない。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Okada,Y.,et al.: "Vasopressin increases frog gustatory neural responses elicited by NaCl and HCl." Comp.Biochem.Physiol.100A. 693-696 (1991)
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[Publications] Miyamoto,T.,et al.: "Voltageーgated membrane current of isolated bullfrog taste cells." Zool.Sci.8. 835-845 (1991)
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[Publications] 宮本 武典,他: "ウシガエル単離味細胞への電極内潅流法の適用." 味と匂のシンポジウム論文集. 25. 293-296 (1991)
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[Publications] Sato,T.: "Transduction of four basic taste stimuli into frog taste cell responses." Jpn.J.Physiol.41(Suppl.). S15 (1991)
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[Publications] Sato,T.,et al.: "Ionic permeability of the apical and basolateral membranes in a frog taste cell induces the receptor potential in response to salt stimuli." 比較生理生化学. 8. 156 (1991)
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[Publications] Okada,Y.,et al.: "Effect of ions on acidーinduced responses of isolated frog taste cells." Jpn.J.Physiol.41(Suppl.). S218 (1991)
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[Publications] 佐藤 俊英,他: "化学受容におけるトランスダクションの分子機構(平成2年度科学研究費補助金(総合研究A)研究成果報告書)" 木島博正, 105 (1991)