1989 Fiscal Year Annual Research Report
硬組織に由来する細胞の機能発現とリソゾ-ム性酵素の役割に関する実験薬理学的研究
Project/Area Number |
01480434
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
加藤 有三 長崎大学, 歯学部, 教授 (20014128)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 美穂 長崎大学, 歯学部, 助手 (50191341)
朔 敬 長崎大学, 歯学部, 助手 (40145264)
山本 健二 九州大学, 歯学部, 教授 (40091326)
|
Keywords | リソゾ-ム性酵素 / 細胞内プロテア-ゼ / プロテア-ゼ / カテプシンD / カテプシンE / カテプシンB / カテプシンH |
Research Abstract |
歯や骨などの硬組織は、周囲の恒常性に何等かの変化が生じて、物理化学的な刺激が生体に加わると、特に骨は形態と機能の両面において積極的な変化を遂げる事が知られている。外来性の刺激が原因となって骨吸収や骨形成に到る過程は複雑であり、現在のところ、なお明確にされているわけではないが、刺激に誘導されて出現してくる骨芽細胞や破骨細胞などの分化過程や、それらの細胞の本来の機能発現には、恐らくそれらの細胞内のリソゾ-ム性プロテア-ゼが深く関与していると考えられる。我々はリソゾ-ム性プロテア-ゼのうちで、アスパルティックプロテア-ゼのカテプシンDとE、システインプロテア-ゼのカテプシンBとH、セリンプロテア-ゼのエラスタ-ゼなどの酵素の生理的、病理的役割を検索する目的で研究を行っている。まず、ラット脾臓や肝臓およびヒト血球細胞を材料としてこれらの酵素を分離精製する。つぎにそれぞれの特異抗体を作製した。歯周疾患患者において、これらの酵素の活性測定と特異抗体による酵素量の測定を行ったところ、それらの測定値は歯肉溝滲出液量と相関を示すが、歯槽骨の吸収度合とは相関しない事が判明した。また免疫組織化学的検索により、歯周組織のうち、カテプシンDが歯肉の内縁上皮及び外縁上皮に均一な形で局在していること、また同酵素は歯根膜の線維芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞に見出されること、骨細胞に関しては、骨膜に近い部分の骨細胞に同酵素が見出されたが、内部では酵素分布の度合が減少した。一方、現段階では、カテプシンEの局在を明確に示す所見は得られておらず、なお今後の課題である。またカテプシンEは、ATPの共存によって、活性を示すpHの領域が中性側に広がるばかりでなく、熱に対する安定性も増すことが新たに判明し、同酵素の生体における役割を考えるための新たな情報となり得ると考えられる。
|
-
[Publications] Hideaki Sakai: "Quantitation and immunohistochemical localization of cathepsins E and D in rat tissues and blood cells." Biochim.Biophys.Acta. 991. 367-375 (1989)
-
[Publications] Kenji Yamamoto: "Age-related and phenylhydrazine-induced activation of the membrane-associated cathepsin E in human erythrocytes." J.Biochem. 105. 114-119 (1989)
-
[Publications] 国松和司: "歯周疾患とカテプシンB,HおよびL" 炎症. 9. 121-125 (1989)
-
[Publications] 山本健二: "歯周疾患とメダラシン" 炎症. 9. 127-131 (1989)
-
[Publications] Eiko Ueno: "Activation mechanism of erythrocyte cathepsin E.Evidence for the occurrence of the membrane-associated active enzyme." J.Biochem.105. 878-882 (1989)