1990 Fiscal Year Annual Research Report
ラット下顎骨由来シアロタンパクの生合成と石灰化との関連ー抗体を用いたアプロ-チ
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01480435
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大工原 恭 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40028733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弘野 修一 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00181222)
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Keywords | シアロタンパク / 糖タンパク / α_2ーHS glycoprotein / 骨芽細胞 / 肝細胞 |
Research Abstract |
本年度は、ラット下顎骨から精製したシアロタンパク(59kDa bone sialoprotein;59kDaーBSP)の物理化学的な性状を明らかにすると共に、このタンパクの生合成調節機構を解明するために、まずその産生細胞を同定することに着手し、以下の結果を得た。1.ラット下顎骨から精製したシアロタンパクは、pIが約4.8の酸性糖タンパクであって、電気泳動的に分子量は約59,000であるが、Nーglycanaseで糖鎖を切ると分子量は約45,000に低下し、さらに化学的に糖鎖を切ると分子量は約35,000に低下することから、59kDaーBSPはNー、及びOーグリコシド結合を持つと推定された。2.そのアミノ酸組成は、ヒトのα_2ーHS glycoprotein(AHSG)のそれと極めて類似していた。3.リジルエンドペプチダ-ゼによる限定分解を行って得られたペプチド断片のアミノ酸配列はヒトのAHSGのそれと約50%の相同性が認められた。4.ラットの初代培養肝細胞、培養骨芽細胞及び頭蓋骨組織培養系に ^3Hーロイシンを加え、12ー50時間培養後の培養液を59kDaーBSPに対するモノクロ-ナル抗体を用いて免疫沈降させ、フルオログラフィで検討したところ、いずれの系においても経時的に59kDaーBSPを合成していると認められた。以上の結果及び昨年度得られた59kDaーBSPの体内分布の結果は、我々が精製した59kDaーBSPがラットのAHSGであることを強く示唆するものであるが、このことは現在行っている59kDaーBSPのcDNAクロ-ニングによる全アミノ酸配列の決定を待たねばならない。一方、ヒトのAHSGは肝臓で合成され血流を介して石灰化組織に供給されていると考えられているが、ラットの59kDaーBSPは骨芽細胞でも合成されていること、ヒトのAHSGはヘテロダイマ-であるのに反し、ラットの59kDaーBSPはモノマ-であることなど、ヒトのAHSGとは異なる性質も明らかになっており、今後はさらにこれらの点を追求する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大西 智和: "ラット骨由来シアロタンパク質の骨芽細胞による生合成" 生化学. 62. 658-658 (1990)
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[Publications] 大西 智和: "ラット骨由来シアロタンパク質の産生細胞" 歯科基礎医学会雑誌. 32(補). 133-133 (1990)
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[Publications] Ohnishi,T.: "Purification,characterization and studies on tissue distribution of a 59 kDa bone sialic acidーcontaining protein (59kDaーBSP) from rat mandible using a monoclonal antibody." Journal of Biological Chemistry.
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[Publications] Ohnishi,T.: "Synthesis of rat 59 kDa bone sialoprotein,probably the rat counterpart of human α_2ーHS glycoprotein,by both rat hepatocytes and osteoblasts." Journal of Biological Chemistry.