1990 Fiscal Year Annual Research Report
含金属モノマ-の各種歯科材料に対する接着性に関する研究
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01480449
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中井 宏之 岡山大学, 歯学部, 教授 (10049372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 持郎 岡山大学, 歯学部, 助手 (40171764)
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Keywords | 含金属モノマ- / 有機質溶解剤 / 次亜塩素酸ナトリウム / 次亜リン酸塩 / 次亜臭素酸塩 / 根管清掃剤 / コラ-ゲン / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
昨年度における含金属モノマ-、オリゴマ-を含むレジン系セメント、ボンディング材は無機系の材料及びエナメル質に対して良好な接着性を示すものの、有機系の材料及び象牙質に対する接着性は低いことが明かとなり、歯質、特に象牙質に対する接着性をいかに向上させるかが大きな問題であった。そこで、我々は従来の酸エッチング法とは全く逆の発想で象牙質処理面が無機質であるハイドロキシアパタイトリッチとなる処理法を考案した。即ち、無機質であるハイドロキシアパタイトと有機質であるコラ-ゲンの複合体である象牙質から酸エッチング法とは逆にコラ-ゲンを選択的に溶解除去する方法である。コラ-ゲン溶解剤としては、口腔内で歯質に直接用いることを想定して、歯内療法における根管清掃剤として広く用いられている次亜塩素酸ナトリウムに着目し、種々の酸に換わる歯面処理剤としての可能性を探った。ボンディング剤としてはクリアフィルニュ-ボンドを用いた。その結果は、1.歯面処理剤として次亜塩素酸ナトリウムは歯質に対する接着性の向上に有効であり、その処理歯面の電子顕微鏡像は形態的にはほとんど変化がなかった。2.酸系の根管清掃剤であるEDTAやフェノ-ルスルホン酸との併用はさらに接着性の向上に効果があり、エナメル質、象牙質の両者に対する接着性を著しく向上させた。対エナルメ質ではコンポジットレジンの凝集破壊(17MPa)が起こり、対象牙質では被着体破壊(13MPa)が起こる程の接着強さを示した。この場合でも、処理歯面の形態的変化は少なかった。3.次亜塩素酸ナトリウム類似化合物である次亜塩素酸カルシウム及びカリウムもナトリウム塩に対して同等以上に接着性向上に効果があり、その処理歯面の形態的変化は同様に少なかった。また、有機質溶解能を有する各種次亜リン酸塩及び次亜臭素酸ナトリウムも上記次亜塩素酸塩と同様に接着性向上効果があった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jiro Tanaka: "Studies on Surface Treatment Agents with Organic Compoundsーdissolving Abilities:Applying Root Canal Cleaner to Surface Treatment Agent for Bonding to Tooth Substance" DENTAL MATERIAL JOURNAL. 10. (1991)
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[Publications] Jiro Tanaka: "Studies on Surface Treatment Agents with Organic Compoundsーdissolving Abilities:Surface Treatment of Tooth Substance by Sodium Hypochlorite like compounds" DENTAL MATERIAL JOURNAL. 10. (1991)