1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480468
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渕端 孟 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸夫 大阪大学, 歯学部, 講師 (10112062)
加藤 和子 大阪大学, 歯学部, 助手 (10194804)
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Keywords | 放射線 / 成長軟骨細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 遠心管培養系 |
Research Abstract |
本年度は、X線照射台の改良及び、放射線の培養成長軟骨細胞の増殖、分化に及ぼす影響を検討した。以下に得られた知見を要約する。遠心管内で培養したウサギ成長軟骨細胞は、増殖期(培養4〜12日)、成熟期(培養12〜16日)、肥大化期(培養16日以後)を通じて最終分化して、軟骨基質石灰化を誘導した。そこで、まず培養7日目(増殖期)に0.1〜10GyのX線を照射して、細胞機能の経時的変動を追跡した。10Gyの照射は、照射直後より軟骨細胞のDNA合成能(^3Hーチミジンの取り込み)を60%抑制した。またその抑制は以後2週間回復せず、培養21日目でのDNA量は、対照群より約40%低下した。一方、軟骨基質合成能(^<35>SO_4の細胞外基質への取り込み)は、10Gy照射では、著明な変動がみられなかったものの、対照群よりも2日早く、合成のピ-クを迎えた。さらにアルカリフォスファタ-ゼ産生能も、10Gy照射で約40%低下したが、産生開始時期は、3日早まった。以上の結果は、放射線は、単に軟骨細胞の増殖に影響するのみならず、分化機能にも影響することを示している。また、放射線は、軟骨細胞の早熟化を促すことが示唆された。この点については、軟骨細胞の増殖能の低下と連動するのか現在検討中である。次に、すでに増殖を終えた、培養16日(成熟期)あるいは、培養21日(肥大化、石灰化期)に1〜10Gyの照射を行い、培養25日目に、各種分化マ-カ-を測定した。培養16日目の10Gy照射は、軟骨細胞の基質合成には影響しなかったが、アルカリフォスファタ-ゼ産生能・石灰化能を有意に低下させた。また、培養21日目に10Gy照射しても、何ら影響は見られなかった。以上の結果より、軟骨細胞の放射線感受性が、分化段階に応じて変動すること、及び、放射線の軟骨細胞の分化機能に対して、細胞増殖とは独立した機構で影響することが判明した。
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