1989 Fiscal Year Annual Research Report
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01480471
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高田 和彰 広島大学, 歯学部, 教授 (30029970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (00169153)
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Keywords | 口腔由来扁平上皮癌 / 唾液腺腫癌 / 自己増殖促進因子 / Epidermal growth factor / Fibroblast growth factor / 無血清培養 / 口腔粘膜上皮細胞 / 唾液腺由来上皮細胞 |
Research Abstract |
平成元年度においては、当科で樹立した口腔由来扁平上皮癌細胞株3種、他科より供与された唾液腺由来腺癌2種に加え新たに樹立した腺様、胞癌由来細胞株並びにマウス、ヒト唾液腺由来正常上皮細胞、口腔由来正常上皮細胞を用いて細胞内分泌学的検索を行った。その結果、癌細胞株はインスリン、トランスフェリンを含む無血清培地で増殖したが、正常上皮細胞はさらにEpidermal growth factor(EGF)あるいはFibroblost growth factor(FGF)を必要としていた。この結果から口腔癌細胞はEGF、FGFの要求性が低下していることが明らかとなった。さらに、扁平上皮癌細胞においては正常上皮細胞に比べて、EGF並びにFGFに対する応答異常が生じていることが明らかとなりまた、この応答異常は受容体の発現異常によるのではなくその機能異常あるいは情報伝達系の異常によることが明らかとなった。そこでヒトEGF受容体に対するモノクロ-ナル抗体を作製し各種癌細胞の増殖に及ぼす影響を研索した結果in vitroにおいて扁平上皮癌並びに腺癌細胞の増殖を著明に抑制することがわかった。さらに、ヌ-ドマウス移植扁平上皮癌並びに腺癌細胞の増殖をも抑制することが明らかとなりヒトEGF受容体に対するモノクロ-ナル抗体の口腔癌治療への有用性が強く示唆された。また、腺癌細胞の培養上清並びに細胞抽出液中にEGF活性とさらにEGFと異なる強い自己増殖促進因子活性を見い出した。この活性はヘパリンセェファロ-スに親和性を持ちまた強い血管内皮細胞増殖促進活性を持つことからFGF様因子であることが示唆され腺癌細胞の発生にFGFが深く関与していることが考えられた。平成2年度においてはFGFに対するモノクロ-ナル抗体を作製しその抗体の各種口腔癌細胞に及ぼす影響並びに扁平上皮癌細胞の産生する自己増殖促進因子活性について検索を行い新しい口腔癌治療法を確立することを目的とする。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Myoken,Yoshinari: "An alternative method for the isolation of NS-1 hybriclomas using cholesterol auxotrophy of NS-1 mouse hyeloma cells." In vitro cellular & developmental Biology. 25. 477-480 (1989)
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[Publications] 薮本正文: "無血清培養下におけるマウス顎下腺上皮細胞の株化" 日本口腔外科学会誌. 4. (1990)
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[Publications] 岡本哲治: "ヒトEGF受容体に対するモノクロ-ナル抗体の作製とそれを用いた細胞内分泌学的並びに免疫組織学的検索" 日本口腔科学会誌(学会録). (1989)
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[Publications] 尾崎輝彦: "Human salivary gland udeno curcinoma cells(HSG)produce a basic FGF-like growth jactor as an autocrine growth factor" Proceeding of the Japanese Cancer association. 187 (1989)