1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトロ腔扁平上皮癌の病態・予後と癌遺伝子産物の発現の関連性についての研究
Project/Area Number |
01480473
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 哲章 九州大学, 歯学部, 助手 (00150483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大関 悟 九州大学, 歯学部, 講師 (80117077)
大石 正道 九州大学, 歯学部, 助教授 (70037505)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 癌遺伝子 / 癌遺伝子産物 |
Research Abstract |
癌遺伝子産物とヒトロ腔扁平上皮癌の組織分化度・病期、予後などとの関連性を調べその生物学的意義について検討を行った。今年度購入したライヘルトヒストスタット、バキュ-ム・インフィルトレ-タ-、ミニバックを用いて免疫組織染色のための凍結およびパラフィン薄切標本を作製した。十分な組織を採取できた症例ではバイオクリ-ンベンチを用いて組織培養を試みている。免疫組織染色はABC法(Vectastain、ABC-APキット)と、一次抗体として抗c-mycモノクロ-ナル抗体(CRB社)、抗r-H-rasモノクロ-ナル抗体(OSI社)など市販されている数種の抗体を用いた。コントロ-ルとして正常IgG、PBSを用いて比較した。c-mycp62は、口腔扁平上皮癌症例の58%に発現していた。従来の胃癌での報告と同様に、腫瘍細胞では核よりも主に細胞質が陽性を示しており、また周囲間質も陽性を示すものや、腫瘍細胞のみ陰性を示すものなど症例間で様々な発現パタ-ンを示した。陽性率は高分化型の58%、中低分化型の57%、転移例の45%、非転移例の70%、再発例の40%、非再発例の64%、StageI IIの50%、StageIII IVの64%であり、これら病態予後因子との明らかに有意な関連性はまだみられていない。rasp21の発現は従来の報告より低く数例にみられたのみであった。これは用いた抗体の違いによることも考えられ検討する必要がある。現在、fos、EGF-Rなど、他の癌遺伝子産物の発現についても抗体を購入し調べている。今後はこれら活性化機構や、活性化時期の異なる癌遺伝子産物の発現を総合的にみて口腔癌の病態予後とを関連づける必要があると考える。
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