1989 Fiscal Year Annual Research Report
局所麻酔薬側鎖の置換基が局所麻酔効果に及ぼす影響について
Project/Area Number |
01480474
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
國分 正廣 東日本学園大学, 歯学部, 助教授 (70124691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 和明 東日本学園大学, 薬学部, 助手 (80094829)
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Keywords | 局所麻酔薬 / リドカインエステル誘導体 / 長時間作用性 / 合成 / 親脂質性 |
Research Abstract |
2,6ーキシリジンとNメチルイミノディアセチック酸とから合成したリドカインのカルボン酸誘導体を酸触媒下にメチル、エチルおよびブチルアルコ-ルと反応させ、リドカイン(Li)のメチルエステル(LiーMe)、エチルエステル(LiーEt)、ブチルエステル(LiーBu)の誘導体を合成した。これらの新しい局所麻酔薬の薬理学特性は、解離定数(PKa)、分配係数、蛋白結合率を算定することが検索した。この結果、解離定数はLiが7.9であるのに対し、LiーMeは7.8、LiーEtは7.7、LiーBuは7.5と最も小さかった。逆に分配係数はLiが0.18であるのに対し、LiーMeは0.03、LiーEt 0.15、LiーBuは1.13と最も大きかった。また、蛋白結合率はLiが52%であるのに対し、LiーMeでは47%、LiーEtでは60%、LiーBuでは89%と炭素数が増すごとに組織親和性が向上することがわかった。 一方、ウサギを用いて表面麻酔効果、局所麻酔効果の判定を行った。ウサギの角膜にそれぞれの局所麻酔薬の100mM溶液を2滴滴下し、角膜反射の消失時間を調べた結果ではリドカインに比べてLiーMeが有意に短かかったこと以外には有意差はみられず、いずれのエステル誘導体も表面麻酔効果を有することが認められた。また、ウサギの摘出迷走神経を用いて、電気刺激を与え、得られた活動神経の振幅抑制の程度により、局所麻酔薬としての作用発現までの時間、作用持続時間を検索した。この結果、作用発現までの時間はLiーBuで最も短かかった。作用持続時間LiーEtがLiの2.1倍、LiーBuはLiの3.3倍に延長することがわかった。この理由は前に述べた如く、LiーBuの解離定数がLiに比べて小さいため作用発現までの時間が短かく、かつ分配係数とタンパク結合率が高いため作用持続時間が延長するものと考えられる。LiーBuではLiと同程度の麻酔作用を長時間期待でき、ペインクリニックや長時間の手術に有用であると考える。
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[Publications] Masahiro Kokubu,Kazuaki Oda,Minoru Machida,Noboru Shinya: "New Lidocaine ester derivatives with Prolonged Duration of Action" Journal of Anesthesia. (1990)
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[Publications] 國分正廣,小田和明,今崎達也,岩本暁,工藤勝,町田實,新家昇: "Lidocaine誘導体とその局所麻酔薬としての特性" 日本歯科麻酔学会雑誌. 17(1). 119 (1989)
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[Publications] 國分正廣,小田和明,今崎達也,岩本暁,工藤勝,新家昇: "局所麻酔薬側鎖の置換基がその局所麻酔効果に及ぼす影響について" 東日本歯学雑誌. 8(1). 100-101 (1989)
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[Publications] 國分正廣,小田和明,今崎達也,岩本暁,工藤勝,新家昇: "局所麻酔薬側鎖の置換基がその局所麻酔作用に及ぼす影響について" 麻酔. 38(9). S142 (1989)
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[Publications] 國分正廣,岩本暁,小田和明,遠藤裕一,大友文夫,新家昇: "リドカインのエステル誘導体の合成とその局所麻酔効果について" 日本臨床麻酔学会会誌. 9(6). 142 (1989)
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[Publications] 國分正廣,小田和明,町田實,新家昇: "リドカインおよびリドカイン誘導体のリン脂質膜における結合様式について" 日本歯科麻酔学会雑誌. 18(1). 146 (1990)