1990 Fiscal Year Annual Research Report
新素材形状記憶樹脂の歯科および歯列矯正材料への応用に関する研究
Project/Area Number |
01480483
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 昭彦 九州大学, 歯学部, 講師 (00037524)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉利 和彦 九州大学, 歯学部, 助手 (60037538)
一ノ瀬 元史 九州大学, 歯学部, 助手 (30150460)
|
Keywords | 形状記憶樹脂 / ポリノルボルネン / 歯列矯正用エラスチック / 歯牙牽引力 |
Research Abstract |
形状記憶樹脂ポリノルボルネンを歯列矯正用ゴムとして利用する場合、適当な物性をもっているか、又適当な歯牙牽引力を発揮させるにはどのような条件を与えたらよいか、等を知るための実験を昨年度(平成元年度)実施した。その結果、直径1mmのワイヤ-状に成形したものを50℃温水下、0.5mm/秒の速度で2〜3倍に伸展するのが最も適当であるという結論を得た。本年度は臨床応用に向けてより具体的な検討を行うため、同樹脂の口腔内温度および歯牙移動に伴う距離縮小による牽引力の変化を測定した。また、歯牙植込模型(タイポドント)を用いて、治療のシミュレ-ションを行った。結果は以下の通りであった。 1.36.5℃(体温)下で発揮していた力は、口腔内温度が冷水等で5℃に下降すれば、0〜87%強くなり、温いお茶などで60℃に上昇すれば45〜48%弱くなる。従って安定した力を得るためには、臨床応用において口腔内温度の管理も必要である。 2.形状記憶樹脂を2本のフックにかけ、距離を4日に1mmずつ縮小させて25日間に亘る力の測定を行ったところ、従来の材料(矯正用エラスチックモジュ-ル、ワイヤ-のコントラクションスプリング)にくらべて力の低下は著しく少ないことが分かった。 3.模型を用いた歯牙移動の手順をシミュレ-ションは、複雑なル-プの屈曲を省くことができ、歯の移動ステップを同時に行えるなどの利点をもっていた。しかし、従来のワイヤ-を用いることも不可欠であり、本樹脂の臨床応用にはまだ解決しなければならない点が残されていることが分かった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 中島 昭彦: "形状記憶樹脂の歯科矯正材料への応用ー牽引力の測定と歯の移動シミュレ-ションー" 日本矯正歯科学会雑誌. 50. 147-157 (1991)
-
[Publications] Nakasima,A: "Potential application of shape memory plastic as elastic material in clinical orthodontics" European journal of orthodontics. (1991)