1989 Fiscal Year Annual Research Report
先天多発奇形におけるDNA複製酵素遺伝子およびホメオティック遺伝子の解析
Project/Area Number |
01480500
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
守内 哲也 東海大学, 医学部, 助教授 (20174394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中根 一穂 長崎大学, 医学部, 教授 (60164240)
岩崎 克彦 東海大学, 医学部, 講師 (10119646)
|
Keywords | DNAポリメラ-ゼα / DNAポリメラ-ゼβ / PCNA / ホメオボックス / 先天奇形 |
Research Abstract |
ヒト発生異常の原因は遺伝的要因と環境要因に大別されるが、その多くは複数の遺伝子(ポリジ-ン)異常によって起こると推定されている。複数の遺伝子異常は当然DNA合成の際に生じるはずであり、DNA合成は複製、修復および組み換えなどにおいて見られる。最近、形態形成調節遺伝子と考えられるホメオボックス(Hox)遺伝子複合体の遺伝情報発現異常も発生異常の原因となるという実験的事実も示されている。そこで1)DNA合成に関わる代表的な遺伝子であるDNAポリメラ-ゼ(pol)α、βおよびpolδ補助蛋白(PCNA)のcDNA、2)Hox4およびHox4近傍にマップされる多型性DNAマ-カ-(γークリスタリン遺伝子DNA)等をプロ-ブとしてヒトDNA(先天奇形20例、健康人95例)のサザンブロット解析を行なった。 1.PCNA遺伝子に異常にあることが判明していた先天多発奇形の1症例において、その後の検索の結果polαおよびpolβ遺伝子にも異常が見出された。また他の先天多発奇形に1症例においてpolβ遺伝子の異常が見られた。健康人95例のうち親に再生不良性貧血患者をもつ1例においてpolβとγークリスタリン遺伝子の異常のある例が見出された。いずれも対立遺伝子の片方が異常であった。 2.先天奇形においてHox4のc13遺伝子には異常が検出されなかった。 3.Pst1消化DNAにγークリスタリンDNAプロ-ブをハイブリダイズさせた場合DNA多型性が見られる。heterozygosityの頻度は健康人では53%であるのに対して、重要先天奇形では7%であった。この結果は染色体2q33ー35にマップされるγークリスタリン遺伝子と連鎖する先天奇形関連遺伝子の存在を示唆している。以上のことから重度先天奇形には、DNA合成酵素の遺伝子異常と関連する症例とホメオボックスあるいはその近傍の遺伝子異常と連鎖していると推測される症例とがあると考えられた。
|
-
[Publications] Moriuchi,T.: "A polymorphic DNA marker genetically linked to congenital malformation." Nucleic Acids Res.(Symp.Syr.). 21. 19-20 (1989)
-
[Publications] Suzuka,I.: "Gene for proliferating-cell nuclear antigen(DNA polymerase δ auxiliary protein)is present in both mammalian and higher plant genomes." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 86. 3189-3193 (1989)
-
[Publications] Yoshida,M.C.: "Chromosome assignment of the PCNA gene for human proliferating cell nuclear antigen." Jpn.J.Human Genet.34. 32 (1989)
-
[Publications] Nakane,P.K.: "Proliferating cell nuclear antigen(PCNA/cyclin):Review and some new findings." Acta Histochem.Cytochem.22. 105-116 (1989)
-
[Publications] Yamaguchi,M.: "Drosophila PCNA/cyclin gene:Structure,expression during development,and specific binding of homeodomain proteins to its 5'-flanking region." Mol.Cell Biol.(1990)