1989 Fiscal Year Annual Research Report
虚血による心筋微小循環動態の変化とこれに及ぼす薬物の効果
Project/Area Number |
01480502
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
坂梨 又郎 琉球大学, 医学部, 教授 (80040252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 克彦 琉球大学, 医学部, 助手 (70156181)
樋口 マキヱ 琉球大学, 医学部, 助教授 (80040187)
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Keywords | 麻酔開胸イヌ / 全身血行動態 / 臓器血流量 / 冠血流量 / 心筋虚血 / 冠拡張薬 / ベ-タ受容体遮断薬 / 摘出灌流ラット心臓 |
Research Abstract |
平成元年度は本研究課題の目的達成を確実にするために、実験条件の設定と予備実験による実験デ-タの普遍性についての確立に主眼をおいた。まず、麻酔開胸イヌを用いて、全身血行動態と脳・心・腎の各重要臓器への血流量を測定しながら、いわゆる冠拡張薬であるジピリダモ-ルとパパベリンの作用を比較検討した。その結果、ジピリダモ-ルは心機能に著変を生じることなしに冠血流量を特異的に増加させるのに対しパパベリンによる冠血流量増加作用は心機能の亢進を伴って生じることがわかった。つぎに、同じ麻酔開胸状態のイヌにおいて、冠動脈をスネア型狭窄子により狭窄して部分的な心筋虚血状態を作成し、超音波測長法による局所心筋長の変化から虚血部位の局所心機能を推察し、これに及ぼす諸種薬物の効果を検討した。ベ-タ受容体遮断薬であるプロプラノロ-ルとアロチノロ-ルは心拍数ならびに左室内圧一次微分の減少を伴って虚血部位の心機能に改善効果を示したが、アルファ受容体遮断効果をあわせ持つラベタロ-ルでは期待されたように改善効果が認められず、冠灌流圧がある程度維持されていることが改善効果発現には重要であることが示唆された。同じ実験条件でベ-タ2受容体遮断薬として知られるICI118、551もまた虚血心筋の機能改善効果を惹起し、同時に虚血のひとつの示標である乳酸代謝を改善させ、心筋虚血にベ-タ2受容体の関与もあることを推論させた。摘出灌流ラット心臓標本を用いた実験からは、正常ラットとストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットとでは冠灌流量減少による左室内圧と心尖部収縮力の変化が、とくにノルエピネフリン灌流という負荷を加えた時に顕著となることがわかった。これについては心筋高エネルギ-リン酸化合物含有量の変動と関連づけて検討中である。平成2年度は、心筋にレ-ザ血流計のプロ-ブを装着して局所微小循環血流量の虚血による変化と薬物効果を検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Sakanashi,K.Noguchi et al.: "Investigation on the effect dipyridamole and papaverine on regional blood flow and cardiac hemodynamics in anesthetized dogs" Arzneimittel-Forschung/Drug Research. 39(II). 1119-1123 (1989)
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[Publications] K.Noguchi,Y.Ojiri et al.: "Alleviation of myocardial dysfunction and abnormal lactate metabolism during coronary stenosis in dogs by ICI 118,551." European Journal of Pharmacology. 168. 315-328 (1989)
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[Publications] K.Noguchi,T.Kato et al.: "Comparative effects of arotinolol,labetalol and propranolol on regional myocardial dysfunstion induced by flow-limiting coronary stenosis in anesthetized dogs" The Japanese Journal of Pharmacology.