1990 Fiscal Year Annual Research Report
腎症候性出血熱ウイルスの分子生物学的診断法の確立と非感染動物作成への応用
Project/Area Number |
01480512
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村上 宏 神戸大学, 医学部, 教授 (20030819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢川 裕二 大阪大学, 微生物病学研究所, 助手 (20184583)
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Keywords | 腎症候性出血熱ウイルス / 分子生物学的診断 / 感染動物 |
Research Abstract |
1)HFRSウイルスにはアポデムス型、ラット型、クレスリオノミス型、ミクロトス型の4種類の血清型が存在している。これまでに明らかになっているアポデムス型、ラット型、クレスリオノミス型ウイルスのMゲノムセグメントの遺伝子配列と我々が明らかにしたラット型ウイルスのBー1株とを比較した結果、血清型に対して特異的な変異部位が存在することを明らかにした。この変異部位は感染性に関与している可能性が示唆された。 2)野外ラットから単離したKIー262株のMゲノムセグメントの遺伝子配列を決定した。KIー262株は実験室ラットから単離された株に比べ、病原性は弱く、変異部位はG2タンパク質上に非常に多く存在していた。病原性に関与しているのはG2タンパク質かもしれない。 3)Bー1株とHantaan株に感染したマウスの白血球を材料とし、PCRを用いたウイルスのゲノム診断法の確立をした結果、感染後1週間でウイルスゲノムは検出された。これは抗体検出よりも感染早期の診断が可能となった。また、ウイルス抗体は検出されても抗原がすでに検出されなくなった持続感染マウスからもウイルスゲノムは検出された。さらに、この診断において血球のサンプリングの方法により検出感度の変わることも明かとなった。すなわち、採血時のヘパリンの使用はリバ-ストランスクリプタ-ゼの活性を阻害することから、ヘパリンの代わりにEDTAを用いることにより、よい結果を得ることができた。 4)確立されたPCR診断法を用いて、実験用マウスのHFRSウイルス保有状況を検討した結果、サンプル数は少ないのではっきりしたことは言えないが、現時点においてBー1株やHantaan株の遺伝子を有した個体は検出されていない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Isegawa: "Nucleotide Sequence of the M Genome Sequence of Hemorrhagic Fiver with Renal Syndrome Virus Strain Bー1" Nucleic Acids Research. 18. 4936 (1990)
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[Publications] Y Isegawa: "Detection of Hantaan Virus RNA Sequences by In Vitro DNA Amplitication" Journal of Virological Methods.
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[Publications] Y.Fujiwara: "The Preparation of cDNA Library and Direct Sequencing of Hemorrhagic Fever with Renal Syndrome Virus Strain Bー1 with Polymerase Chain Reaction"
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[Publications] H.Kariwa: "Nucleotide Sequence of the M Genome Sequence of Hemorrhagic Fiver with Renal Syndrome Virus Strain KIー262 Isolated from wild Rat Hokkaido Epidemic Area" Nucleic Acids Research.
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[Publications] Y.Isegawa: "The Mutation Regions on the M Genome Segments Relatecl with Serologically Distinct Groups of Hemorrhagic fever with Renal Syndrome Viruses" Journal of General Virology.