1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480523
|
Research Institution | Brain Research Institute, Niigata University |
Principal Investigator |
三品 昌美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80144351)
|
Keywords | 筋原細胞 / 初代培養 / アセチルコリン受容体 / γサブユニット / εサブユニット / αβδーAChR / 分化 / チャンネル |
Research Abstract |
樹立された筋原細胞株を分化させる系は、α、β、γ、δサブユニット遺伝子の分化誘導を再現するには充分であるが、γサブユニットからεサブユニットへの切り換えを研究するには適切でないと考えられる結果を得たので、よりvivoに近い系として、ラット筋原細胞の初代培養を試みた。20%牛胎児血清から10%馬血清へ移すことにより、初代培養筋原細胞は効率良く筋管へと分化し、さらに分化が進むと活発に収縮した。分化の各段階でRNAを抽出し、blot hybridization法で解析した結果、γサブユニットの発現が分化の初期から検出されたのに対し、εサブユニットの発現は分化の後期において始めて認められることが明らかとなった。したがって、部分的ながらアセチルコリン受容体のサブユニットの切り換えが起こる系をin vitroで確立することができた。 また、ウシアセチルコリン受容体サブユニットmRNAをcDNAから合成し、卵母細胞に注入し、生成したアセチルコリン受容体チャンネルの性質をパッチクランプ法を用いて解析した。その結果、我々が先に明らかにしたα、β、γ、δサブユニットより成る非シナプス型受容体(AChRγ)およびα、β、ε、δサブユニットより構成されるシナプス型受容体(AChRε)以外に、α、βおよびδサブユニットの組み合わせでも効率良くアセチルコリン受容体チャンネルが形成されることを見い出し、αβδーAChRと命名した。αβδーAChRはアセチルコリン存在下で非常に長い平均開口時間(53ms)を示し、アセチルコリン非存在下で自然発生的に開口するという興味深い性質を有していた。骨格筋発生の初期にはAChRγでは説明できない非常に長い開口時間を持つ受容体の存在が知られており、その生理的意義は不明であるがαβδーAChRのような不完全と思われる受容体も発生のある時期には実際に形成されている可能性があると考えられる。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] M.B.Jackson,et al.: "Spontaneous and agonistーinduced openings of an acetylcholine receptor channel composed of bovine muscle αー,βー and δーsubunits" Pflu^^¨gers Archiv. 417. 129-135 (1990)
-
[Publications] K.Sakimura,et al.: "Functional expression from cloned cDNAs of glutamate receptor species responsive to kainate and quisqualate" FEBS Letters. 272. 73-80 (1990)
-
[Publications] M.Mishina,et al.: "Structure and function of acetylcholine and glutamate receptors" Fidia Research Foundation Symposium. 8.
-
[Publications] T.Konno,et al.: "Structural determinants of ion selectivity in the acetylcholine receptor channel" Proceedings of the Royal Society of London.
-
[Publications] 三品 昌美: "アセチルコリン受容体の構造と機能" 神経研究の進歩. 34. 911-919 (1990)
-
[Publications] 崎村 建司,三品 昌美: "グルタミン酸受容体チャンネルの構造と機能" 実験医学.
-
[Publications] 三品 昌美: "分子生物科学第10巻,神経情報の伝達" 岩波書店, (1991)