1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480534
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鎌田 七男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (00034629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 公夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80093293)
峠 哲哉 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40034657)
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Keywords | 近距離被爆者 / 死因調査 / 癌発生率 / 健康調査 |
Research Abstract |
本研究は昭和43年から45年に行った原爆被災復元調査により確認された78名の500m以内被爆者を基軸にしての細胞遺伝学的ならびに分子生物学的研究を行っており、本年度はその死因ならびに健康状態についてのまとめを行った。i)死因調査:18年間の死亡者数は28名で、そのうち男性は22名(45.8%)女性は6名(20%)であった。死因別死亡者数は癌(乳癌、白血病、卵巣癌、脳腫瘍、肺癌、胃癌)6名、心臓血管系(心不全6名、脳梗塞3名、脳出血2名)11名、肺疾患(肺結核1名、急性肺炎2名、急性呼吸不全2名)5名、消化器疾患2名、その他(出血性素因、腎不全など)4名であった。年令別死亡症例数では、60才未満(7%)、60才台(21%)、70才台(46%)80才台(19%)、90才台(7%)であった。また、年度別死亡症例数では大きな偏りはないが、昭和53年〜56年に11名が死亡、やや高頻度であった。ii)生存者の健康状態:生存者50名のうち2名は音信不通となり、残り48名の中で身体的健常者は6名、癌既往のある人は7名(胃癌4名、卵巣腫瘍、白血病、脊椎腫瘍 各1名)であった。いずれも手術または治療により治癒ないしは寛解を得ている。残りの35名は以下の疾病の単独ないし重複罹患がみられた:白内障15名、変形性脊椎症14名、高血圧症13名、肝障害6名、甲状腺異常症5名などであった。500m以内近距離被爆者の悪性腫瘍の発生は癌死亡者6名、癌既往者7名、計13名であり、それほど高率ではなかった。しかし、死亡者のうち心臓血管系(17.1%)の疾病が11名(死亡者の39%)にみられており、最近のRERFの報告とも考え合わせ、高線量被爆者での心臓血管系疫患に起因する死亡率の増加は今後十分に考えられるところであり、高線量被爆者の死因ならびに健康調査は分子生物学的研究とも合わせ追跡する必要がある。
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[Publications] Kamada,N.: "Cytogenetic and molecular changes in leukemia found among atomic bomb survivors" Journal of Radiation Research. 32. 172-179 (1991)
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[Publications] Kamada,N.: "Chromosome abnormality in early entrants" Journal of Radiation Research. 32. 275-277 (1991)
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[Publications] 鎌田 七男: "近距離被爆生存者に関する総合医学的研究.第20報過去18年の死亡および疾病状況" 広島医学. 45. (1992)
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[Publications] 鎌田 七男: "原爆放射の人体への影響" 文光堂, (1992)