1989 Fiscal Year Annual Research Report
小脳モジュ-ル構造の in vitro における再構成
Project/Area Number |
01480535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 雅文 東京大学, 薬学部, 助教授 (80119635)
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Keywords | 小脳 / 形態形成 / 脳発生 / 神経回路網 / モジュ-ル構成 / 拘束条件 / モルホジェン / 生体情報 |
Research Abstract |
脳の情報処理はその構造と密接に結び付いており、脳の構造形成がどの様に起きるのかを明らかにすることは、脳の機能を研究する上で欠かすことは出来ない。小脳の構造的特徴は数種類の神経細胞が規則正しく配列したモジュ-ル構造を持つことである。しかしながら、個体を用いた in vivoでの研究ではその実験上の制約からモジュ-ル構造の形成を詳細にわたって研究することは困難であるし、一方 in vitro において器官全体の大きさでもって発生が進ませることも困難であった。本研究ではラットの小脳のスライスを用いることにより in vitro における構造形成が一定の制限はあるもののスライス全般にわたって進むことを発見した。これは発生生物学的にはもちろん小脳機能を明らかにする上でも非常に興味あるシステムである。現在行っている小脳の構造の in vitro での再構成はほぼ in vivo での小脳形成と時間的にも対応している。この再構成を進行させるには空間的或は時間的な拘束条件を上手に作ってやる必要がある。これは脳の発生は小脳自身が自ら作る時空間パタ-ンに従って進行することを示している。残念ながら新生仔での小脳の発生は最初に与えた拘束条件だけでは最終段階までは進まない。このことは in vitro での小脳の発生を最終段階迄持って行くには発生の進行に応じた拘束条件が必要であることを意味している。そこで本年度は発生の進行に伴った拘束条件の把握と巨視的な秩序が何であるかを明らかにすることを目的として、発生の各段階でのスライスを用いて研究を行った。構造形成の過程は時系列としてもある秩序を有している。これまでの結果によると小脳の構造形成にはそれを構成する細胞の時間的変化を揃えるような処置を施さないと小脳の形成は進行しない。また空間的な形態形成の情報をになう morphogen がある種の神経伝達物質ではないかという示唆を得たのでこれを現在は研究中である。
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[Publications] A.Iwabuchi,M.Yano,H.Shimizu: "Development of Extracellular Electric Pattern around Lepidium Roots:Its Possible Role in Root Growth and Gravitropism" Protoplasama. 148. 94-100 (1989)
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[Publications] T.Murata,M.Yano,H.Shimizu: "A model for Bacterial Flagellar Motor:Free Energy Transduction and Self-Organization of Rotational Motion" J.Theor,Biol. 139. 531-559 (1989)
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[Publications] Y.Komatsu,K.Nakamura,M.Yano & H.Shimizu: "Spatio-Temporal Evolution of Extracellular Electric Potential upon Starvation around Plasmodia of Physarum Polycephalum" Cell Structure and Function. 14. 515-530 (1989)
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[Publications] M.Yano: "「静電アクチュエ-タ」" 精密工学会誌. 55. 646-648 (1989)
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[Publications] M.Yano & S.Tsukita: "クロスブリッジの構造変化と収縮機構" 蛋白質核酸酵素. 34. 1776-1783 (1989)