1989 Fiscal Year Annual Research Report
非相同性の遺伝的組換えによるDNA再編成と遺伝子の発現
Project/Area Number |
01480540
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飯田 滋 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30012777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 力 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (40190764)
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Keywords | 遺伝的組換え / 非相同性組換え / DNA再編成 / 遺伝子発現 / 可動遺伝因子 / 転移因子 / 高等植物 / 薬剤耐性標識遺伝子 |
Research Abstract |
遺伝的組換えはDNA塩基配列に相同性のある領域内で起る相同性組換えと相同性がないにもかかわらず、組換えの起る非相同性組換えに大別され、一般に非相同性組換えは転移、逆位、挿入、欠失など種々のDNA再編成を引き起し、その結果遺伝子の発現に影響を与えることが多い。高等真核生物では相同性組換えは一般に減数分裂中に起るが非相同性組換えは体細胞中でも起りうる。体細胞由来のプロトプラストより植物個体を再生させ、さらに種子繁殖も可能な高等植物では、プロトプラストに直接法などにより導入した遺伝子に体細胞内での非相同性の組換えによるDNA再編成を次世代へ伝達することも可能であり、それ故DNA再編成に伴う遺伝子発現の変化が世代を通じていかに伝達されるかという問題の解明を容易にしている。本研究では、非相同性の遺伝的組換えとして、プロモ-タ-を持たない薬剤耐性遺伝子の高等植物染色体への挿入に伴う活性化やトウモロコシの転移因子Ac/Dsの切り出しに伴う遺伝子発現の変化などを高等植物のプロトプラストへ薬剤耐性標識遺伝子を含むプラスミドを直接法により導入、形質転換体を分離し、導入遺伝子の構造解析を行うことにより明らかにせんとするものである。 (1)プロモ-タ-を持たぬ導入標識遺伝子が植物遺伝子のエキソンに挿入され活性化された場合を想定したモデル実験として、異なる二種の薬剤耐性遺伝子が人工的なdicistronic mRNAの生成により発現されるようなプラスミドをタバコに導入、両耐性を示すトランスジェニック植物を得て種子繁殖を行った。導入耐性遺伝子の伝達様式を現在検討中である。 (2)転移因子Ac/Dsが転移に伴って切り出されると薬剤耐性遺伝子が活性化されるようなプラスミドを植物細胞に導入、活性化された耐性遺伝子を指標として形質転換体を分離した。現在トランスジェニック植物の作出と導入職移因子の転移能を検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] P.Hubner: "Bent DNA is needed for recombinational enhancer activity in the site-specific recombination system Cin of bacteriophage Pl.The role of Fis protein." J.Mol.Biol.205. 493-500 (1989)
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[Publications] H.Sandmeier: "Site-specific DNA recombination system Min of plasmid p15B: A cluster of overlapping invertible DNA segments." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 87. 1109-1113 (1990)
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[Publications] S.Iida: "The Min DNA inversion enzyme of plasmid p15B of E.coli 15T: A new member of the Din family of site-specific recombinases." Molecular Microbiology. (1990)
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[Publications] H.Sandmeier: "Min DNA inversion creates a gene with a variable 3'end." Nucleic Acids Res.
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[Publications] T.Izawa: "Introduction and transposition of the maize transposable element Ac in rice(Oryza sativa L.)" Mol.Gen.Genet.
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[Publications] S.Iida: "The 3'-terminal region of the hygromycin B resistance gene is important for its activity in Escherichia coli and Nicotiana tabacum." Gene.
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[Publications] 飯田滋: "シリ-ズ分子生物学の進歩13高等植物の情報発現と制御" 丸善株式会社, 292 (1990)
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[Publications] 飯田滋: "医薬バイオテクノロジ-事典" 株式会社広川書店,