1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480544
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
津田 基之 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60045458)
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Keywords | 信号受容蛋白質 / ロドプシン / 膜蛋白の結晶化 / 共鳴ラマン分光法 / フ-リエ変換赤外分光法 / G蛋白質 |
Research Abstract |
情報伝達細胞の多くは情報変換分子としてGー蛋白質を用いている。最近の遺伝子解析の結果、明らかにされた信号受容体のうち、Gー蛋白質と連関する受容体の蛋白質のアミノ酸配列は、予想もしなかったような相同性があるばかりか、推定される高次構造も視物質ロドプシンと同様、αーヘリックスが膜を7回横切る構造をもっていることが明らかとなり、ロドプシンス-パ-ファミリ-と称されるに至った。本研究では信号受容体のうちロドプシンス-パ-ファミリ-のモデルとしてタコロドプシンを選び、その高次構造を明らかにすることにより、機能発現のメカニズムを解明しようとするものである。本年度は結晶化をめざすためロドプシンの精製をおこなうこと、分光学的・生化学的手法により、その高次構造の解析をした。 脊椎動物と比べて頭足類ではロドプシンと似た分子であるレチノクロ-ムの存在のため、その精製は困難である。本年度はこのレチノクロ-ムを光受容膜精製の過程で除去することに成功した。この試料を用いると可溶化後、ConAアフィニテ-カラムでの精製が効率良いことが明らとなった。光信号の受容中心はロドプシンの発色団レチナ-ルである。我々はすでに共鳴ラマン法によって、光受容に併うレチナ-ルの構造変化を追跡してきた。本年度はレチナ-ルと相互作用するアミノ酸残基の変化も同時に観察出来るフ-リエ変換赤外分光法によって脊椎動物のウシと無脊椎動物のタコで光受容に併うロドプシンからバソロドプシン変換過程を研究し、それらの構造をもとに考察した。ロドプシンの情報機能の発現は光受容に併う高次構造の変化である。本研究では特にG蛋白質へ情報を伝える細胞内外に接するル-プの構造変化をキナ-ゼ、プロテア-ゼで明らかにすることに成功した。
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[Publications] Koutalos,Y.,Ebrey,Tsuda Paik,Lien,Shimizu Dergini,Nakanishi Honig: "Regeneration of Bouine and Octopus Rhodopsin in situ with Natural and Artificial Retinal" Biochemistr. 28. 2732-2739 (1989)
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[Publications] Bagley,A.,Eisenstein,L.Ebrey,T.,and Tsuda M.: "A.Comparative Study of the Infrared Difference Spectra for Octopus and Bouine Rhodopsin and Their Bathorhodopsin Photointermediates" Biochemistry. 28. 3366-3373 (1989)
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[Publications] Tsuda,M.,Tsuda,T.Hirata,H.: "Cyclie nucleotide and GTP analogies stimueetated Light Induced Phosphorylation of Octopus Rhoelopsin" FEBS Letters. 257. 38-40 (1989)
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[Publications] Iwabe,N.,Kuma,K.Saitou,N.,Tsuda,M.& Miyata,T.: "Evolution of Rhodopsin Supergene Family." Proc.Jap.Acad.65. 195-198 (1989)
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[Publications] Tsuda,M,Tsuda,T.,Ahdulaeu,N.Mitaku: "Photobiology" Plenum Press,(Edt.Rikilis), (1990)
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[Publications] 津田基之: "生体膜の分子素子・分子機械" 学会出版センタ-, (1990)